部屋が汚い。
とてつもなく汚い。
テーブルの上には飲み終わったビールの缶とつまみの袋が散乱しているし、ソファーの上には乾いた洗濯物が山積みになっている。
昔、友達が働いていた古着屋のバックヤードのような状態になっている。
靴下を一足ずつ引っ張り出して並べても、見事にバラバラ迷子状態。
黙ってそれらを見つめて首を傾げ、しばらく唸ってみても揃うわけがなく、大掛かりな山の解体作業に取り掛かる。
最近は家の中にいても足が冷える。
3ケ月前ぐらいに「可燃」、「不燃・缶」と、それぞれ分けられるように仕切りのあるゴミ箱を買ったものの、入れ替えが面倒で、今は正しく使えていない。
中に日用品のストックを入れ、箱の上にゴミ袋を置いている。
もはやゴミ箱ではなく「物入れ」と「ゴミ袋を乗せる台」。
一つ二役！ 一石二鳥！ と誤魔化しても、見栄えは良くないし、物は正しく使ったほうが良い。
最近、どこかで何かを間違えている感覚に苛まれている。
決断か、考え方なのか(部屋の掃除はいったん置いといて)。
部屋の乱れは心の乱れ、とは良く言ったもので、普段は何かと小綺麗に使っているのに、ふと周りを見渡すとひどい有様でびっくりする。
この連載でも、散々丁寧な暮らしについて語ってきたのに、これじゃぁ嘘つきじゃないかーーー。
部屋の中で唯一綺麗な本棚付近にテーブルを移動させて、連載を書きます(綺麗なところしか視界に入らないように)。
今回は醜態を晒しています。
お恥ずかしい。
お付き合いいただけると幸いです。
ズボラな現状を見て、あるドラマを思い出した。
綾瀬はるかさんが演じていた仕事をテキパキとこなす優秀なOL。
だけれど、家では超絶ズボラな干物女。
はたから見たその生活は酷いものだけど、とってもチャーミングな姿だったし、共感を持つ人は多かっただろう。
私が惹かれたのは、その素直さと一生懸命なところ。
久しぶりに見てみると、なんと、その女性は24歳。
私、今24歳。同い年。
リアルタイムで見ていたシーズン2の時、私はまだ11歳。
子供の時は大人のお姉さんに見えていた彼女と同い年という現実にくらっとする。
私はまだ精神的にも幼いのに。
子供の頃に想像していた大人とはずいぶん違った現状にびっくり。
「まぁこんなものかー」で済ますことができない危機感がすごい。
一生懸命やっているつもりだけれど、一歩社会に出たらひとたまりもないんだろうなぁ。
地元の親友の仕事の話を聞いていても思う。
社会や仕事の厳しさと楽しさ。
不自由と自立した自由。
ついつい孤独に感じてしまうけど、他人がいないと成り立たないのはどの職業でも一緒のはず。
現場で、そのチームの俳優部の一人として、自立して責任を持ってお仕事できているか不安になった。
まずそのお仕事に行けるまでの試練がたくさんある。
最近、嬉しいことと悔しいことが波打つようにあって。
俯瞰でコントロールできているつもりでも、うまく気持ちのバランスが取れないのは、今までのそういった波の乗り越え方が未熟だからだろうか。
ことの重さも、年齢を重ねるほど大きくなっていく。
あるレッスンで、自分の感情に向き合うメソッドを用いて、その状況のエチュード(即興のお芝居)を試したのだけど、一緒にレッスンを受けていた19歳の女優さんが言っていたことがある。
「辛いことがあった時、SNSに逃げてしまうから、感情との向き合い方が分からない」。
彼女は、はじめは携帯を小道具に使っていたのだけど、監督に携帯をなしにしてと指示された時に、動けずただ戸惑っていた。
それはそれですごくリアル。
私も気分が落ち込んだ時、無心でネットに流れる情報を漁って時間を潰すことがあって、ハッとした。
今を生きる人たちのリアルな問題だとも思った。
私的人間らしさとコミュニケーションの欠如。
生活感が出にくい。
変な話、昭和を生きた先輩方と自分のオーラが違うな、と思っていた時だった。
人間臭さがない。
悩みから逃げる手段は今の時代たくさんあるし、いったん離れて見えてくることもある。
でも同時に、人生で超えるべき重要な試練を逃してしまう危険性もあるのかなと思う。
手段がたくさんあることは豊かだけど、それで自分が乏しくなるのはどうなんだろう。
最近は外を歩く時、イヤホンを外して環境音を聞いたり、街の人を観察したりしている。
小さなことだけど、続けていたら何か変わるんじゃないかなって。
自分の足元や遠いところばかり見て、期待して、無駄に落ち込んでいたので、一回フラットに、また一歩ずつ踏み締めていこうと思います。
たまに大股で、踏み外したら少し立ち止まって、小さい歩幅でも、一歩ずつ。
まずは掃除から(笑)。
今を大切にしていこう。
人生あっというまだぁ。
次回はもっと軽やかに、ポップに書けていたら良いな。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今週の水曜日は、ドラマ「パリピ孔明」第6話放送です。
ぜひ、ご覧ください！！！！
【毎連載恒例のオススメの一冊】
「ピュウ」著者／キャサリン・レイシー
訳／井上里
葵うたの aoi utano
’99・7・4埼玉県出身。蟹座。B型。
俳優・タレント。ドラマ「ガールガンレディ」などの出演経験があり、アニメ「Artiswitch」では主人公の声優を担当。毎週水曜22時に放送中のドラマ「パリピ孔明」(フジテレビ系)で、アイドルユニット「AZALEA」の「一夏」役を担当。
#33は11月13日(月)の公開予定です。
