10.22チームしゃちほこ最後の日、そしてこれまでのこと

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10月22日(月)、メンバーの伊藤千由李にとってグループ卒業となる、そして5人体制のチームしゃちほことして最後となるライブが、愛知・Zepp Nagoyaで開催された。ライブタイトルは、「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」。このライブの最後に配られた号外(チラシ)でグループ名の「改名」を発表することになり、結果的に文字通りチームしゃちほこの“ファイナルライブ”となった。そして翌日10月23日(火)には、同会場Zepp Nagoyaで行われた「全速前進」で、新たな名称「TEAM SHACHI」としてスタート。そんなこともあり、この2days以降のここ数日、チームしゃちほこについて考えることが今まで以上に多かった。だから、決めた。記事内容を当初予定していたライブリポートとは少し離れ、記者の「チームしゃちほこ回顧録」にして、チームしゃちほこが生きた証を残しておきたいと思う。

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

10月22日(月)昼過ぎ。リハーサルを見るため、会場に入った。楽屋前の通路を歩いていると、閉ざされた扉の向こうからメンバーの息のあった声が聞こえてくる。発声練習をしているらしい。そして、ほどなくしてメンバーがステージでのリハーサルへと向かうため準備を始めた。目の前でソファーに座っている秋本帆華と目が合い、挨拶をする。すると、「あれ、来てくれたの?」と笑顔で秋本。いつもと変わらないテンションで声をかけられる。と思いきや、間髪入れずに次の言葉を口にした。

「……明日も来てくれるの?」

今日のライブもまだ始まっていないのに、明日(4人体制最初のライブ)の心配をしているのかな?と思いつつ、勝手に彼女のプレッシャーを想像する。

僕は秋本ほどアイドルであり続けるアイドルはいないと思っている。彼女が弱みを見せることは、まずない。見たことがない。それは、「B.L.T.」でチームしゃちほこの担当ライターをお願いしているM氏とも話したことがある。

今年1月中頃。チームしゃちほこのグループ結成6周年が近づいてきたところで、センターの秋本のグラビアの撮影とインタビューを行うことになった。そこでライターM氏とインタビュー内容を相談している時のこと。6年間の活動を振り返りながら大変だったことや辛かったエピソードも踏まえ、彼女とチームしゃちほこの歴史を掘り下げていきたいという話になったのだが、秋本自身は苦労話を美談として語ることを望まないのではないか……という結論になった。もちろん彼女なりの思いや考えは、その都度のインタビューでもよく聞いている。だが、裏話や泥臭い過去を大っぴらに見せることを、彼女はあえてしない。アイドルとして自分を演じているということではないが、それが彼女が一貫してブレない信念なのだろうと僕は思っている。そんな彼女だから、その後グラビアのロケが行われた際に向かった雪が残る極寒の山梨でも、ロケ中に「寒い」とは一度も言わなかったし、そんな素ぶりを見せることは、ほんの一瞬もなかった。それが、チームしゃちほこのレッドを背負い、そしてセンターを務める彼女のプライドなのだろうと想像している。

話を戻そう。そんな彼女を知っているから、リハーサル前のほんの少しだけの機微が気になったのかもしれない。もちろん5人でのパフォーマンスが最後となるこの日のことが大事でないなんてことはないだろう。しかし、チームしゃちほこが迎えた局面、そしてそれに伴う彼女たちへのしかかるプレッシャーは、僕らが計り知れないほど大きなものになっていたのではないかと察した。

そんなことを考えながら、会場の2階席へと足を運ぶ。そして客席のセンターやや後方に腰を落ち着け、ステージを見渡した。賑やかなセットの数々が目に飛び込んでくる。のちに聞いた話だと、初めての日本武道館公演(’14年)で使用したギリシャ柱や、日本ガイシホールの5周年コンサート(’17年)に登場した5色の幕など、歴代のコンサートで使用されてきたセットや小道具などが飾られているそう。ほどなくして始まったリハーサルでメンバーが着用して登場した衣装は、グループの結成5年目に「VICTORY YEAR」と銘打ち行ったコンサートの1つ、横浜アリーナ公演で着ていたものだった。それだけで分かる。これは、現行体制の集大成的コンサートになるのだ、と。だから、オープニングの場当たりで伊藤千由李がローラースケートで登場した時も、日本ガイシホールの演出を懐かしく思い出すことができた。メンバーはもちろん、スタッフの思いも詰め込まれたライブなんだなと実感する。

僕が初めてチームしゃちほこをZepp Nagoyaで見たのは、「World Premium Japan Tour 2013」(’13年)だった。あの時よりも明らかにステージが小さく感じたのは、賑やかなステージに配置されたセットがスペースを食っている、という理由ではない。当時、中学・高校生だった少女が大学生世代となり、身体的な成長をしているのはもちろんなのだが、アイドルとして積み重ねた年月だけ磨かれ、そして大きく成長したということなのだろう。リハーサルでは、周りのスタッフの指示に合わせて進行しながらも、自ら考え、そして修正を加えていく姿がよく見られた。6年半もの間、家族よりも多くの時間をともにしてきただけあって、それぞれの息もピッタリのよう。

本番通りの進行で通しが続いた終盤、伊藤のソロ曲「泣いてなんかいないよ」が流れる。頭から思い切りよく歌う伊藤。大切にしてきたソロ曲だけに、自然と力が入っているように見えた。本番さながらの歌声が、客のいない客席に響く。この曲は、「VICTORY YEAR」の幕張メッセ初日(’16年)で初披露をした。ライブ中盤、伊藤が今から待望のソロ曲を披露すると言うので楽しみにしていたら、曲フリでタイトルを「泣いてなんかいないよ」と言った時は、ずっこけたものだ。曲フリ前からすでに号泣しているではないか……と。

リハーサルが終わり、バックヤードへ戻ると、ケータリングを物色する坂本遥奈に遭遇。坂本は普段から気配りができる女性だ。この日も声をかけてくれた。と、その横を大黒柚姫が、「また太ったんじゃないの?」と歩きながら通り過ぎていく。たしかにこの1、2年、目に見えて太ってきているのは事実なのだが……大黒はどこまでも正直な人である。

坂本といえば、今でも鮮明に忘れられないのが、1st写真集「SYACHI TRIP」を担当して制作した時のこと。本が完成してから初めてメンバーと顔を合わせた際に開口一番、「写真集、最高だったよ」とストレートに言ってくれたのが印象に残っている。モノ作りをしている人間としては、タレントの評価は気になるところ……しかし、自分からどうだったかなんて聞くにも勇気が少しいる。坂本はそういう時に、的確にこちらが求めていることをしてくれる。いわゆるデキる女性。と書くと、大黒がデキない女性に見えてしまうので、彼女のエピソードも1つ。

グラビア撮影のこと。アイドルの集合写真、例えばチームしゃちほこでいうなら5人の撮影の時、表情や目つぶりなどの関係で、全員が揃っていい顔をしている写真は意外と少ない。なのに、それに加えて大黒は、カメラに目線を送っていないことが多いので、それが理由で使える写真がさらに減る(笑)。集中力がないのか、「カメラ見て」「笑って」などカメラマンが指示をしても、すぐに飽きて、目線が外れる、表情がコロコロ変わる、ということがあるのだ……と書くとデキない女性のエピソードになってしまうのだが(笑)、一方で、スイッチが入った時の表情がピカイチだと思っている。それは、1st写真集の沖縄ロケや、2nd写真集のグアムロケで実感した。チームしゃちほこメンバーの中で唯一、グラビアで100点以上のものを出せるメンバーだと思っている。赤点もとるけど、200点もとる。そういう意味では、大黒はアイドル向きなんだろうな、と。

そしてこの日、最後まで顔をあわせることができなかったのが、咲良菜緒。たぶん自分のペースでなんでもサクサクこなしてしまう系デキる女性なので、ちょっと油断していると見失ってしまう……ということなのだろう。

咲良で今でも強く覚えているのは、1st写真集の沖縄ロケ。最終日に発売告知用の動画コメントをメンバー全員にもらおうと動画撮影した時のこと。咲良が仕切って、動画内での話す内容、全体の流れなどをその場でメンバーへ提案、そして割り振り、瞬時に決めてくれた。手際が良い。とにかく早い。ちなみに、この時の沖縄ロケでも、その後に行った韓国ロケ、グアムロケでも、ロケの合間に自由時間を作ると、誰よりも先に街へ繰り出す。気づいたら目の前にいない。行動力がすごい。そんな咲良がいるから、このグループは前へ進むことができるのだろうなと思う。

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

開演直前になった。メンバーたちに一声くらいかけたい気持ちもあったが、かといって、これからステージに上がるアイドルにやすやすと声をかけるのは気がひける。気の利いたことが言えるならばいいが、彼女たちが本番に向けて作っていった気持ちのバランスを、万が一ひょんな一言で崩してしまってはいけないと考えてしまうからだ。本番前のアイドルはそれほどに繊細だと僕は考えている。

そんなことを思いながら隅の方でフラフラしていると、3メートルほど先にあった楽屋から伊藤がひょっこり出てきた。そして目が合った。そして、彼女はいつもと変わらない笑顔でこっちを見て“ヨッ”と手を振って、「いってきます」という挨拶をしてくれた。

変わるもの、変わらないものーー。彼女たちは、重ねた年齢だけ確実に大人になった。一方で、人懐こくて、ひたむきで、いつだって生意気な(もちろんいい意味で)ところはほんの少しも変わっていない。だから、初めて会った日から変わることなくチームしゃちほこが好きでいられるのだと思う。

そもそも、チームしゃちほことの出会いは、「第8回ヤンヤン歌うステージ in 名古屋!」(’12年4月15日 金山CLUB SARU)だった。大学の先輩で、ライブを主催したライブバージョンのM氏に声をかけてもらったことで顔を出したそのイベントに、チームしゃちほこが出演していたのだ。そしてそこで、店長(当時のマネージャー)と再会する。その春までB.L.T.編集部で学生のアルバイトをしていて、就職で地元・名古屋へ帰ってきた矢先だったーー。

店長は、“B.L.T.のバイトくん”を覚えていたようで、声をかけてくれた。当時、「3B junior BOOK」の撮影や、スターダストの女優の撮影現場で何度か顔を合わせていた時のことを覚えていたそう。「これからは名古屋だよ〜」なんていかにも芸能マネージャーらしい調子のいいことを言っていたが、たしかにその時のチームしゃちほこを一目見て、「おもしろい」と思った。

そこから、店長に「名古屋にいるなら顔出してよ」と誘ってもらい、「マンモスフリーマーケット」(’12年4月28日 ポートメッセ名古屋)、「デンパーク×CBC 15thスペシャルイベント」(’12年5月4日 安城産業文化公園デンパーク)など、チームしゃちほこが出演するイベントへ足を運んでいった。「イオンモール新瑞橋イベント」(’12年5月27日)では、店長の「イベントスペースの横で映像を流したいから」というオーダーで、自宅からテレビを持って行ったことも。今思えば、現場の備品にテレビはなかったものなのかと思うのだが、それはさておき、スターダストってとんでもない事務所だと再認識した瞬間だった。一般家庭のテレビをアイドルのイベント現場に持ち込ませるのだから(笑)。

その後、節目のライブを中心に顔を出しつつ日々は過ぎていき、’14年にB.L.T.に復帰(つまり転職)、’16年より前任から引き継ぐかたちで、B.L.T.でのチームしゃちほこ担当に。メンバーとの直接的な仕事はここから本格スタートする。

店長との思い出はたくさんある。1st写真集「SYACHI TRIP」の沖縄ロケの最終日の夜、カメラマンH氏と3人で夜の街に繰り出した時のこと。「ここからは俺に任せとけ」と勢いよく言ったかと思えば、有言実行。何から何まで面倒を見てくれて(意味深)、そのまま一晩、自分の財布を出すことはなかった。割と(いやだいぶ)豪快(でも繊細)だったけど、愛のある人(だいぶ振り回されたりもしだけど)だった。ひとまわり以上年の離れた、そしてB.L.T.としてはチームしゃちほこ担当になって数カ月の編集者の自分に、「1st写真集はきみに任せるよ」って言ってくれたのは、たぶん編集者として一生忘れない、忘れてはいけない言葉だろうと思う。大事な日本ガイシホールでの5周年ライブを控えての展開でもあったから、なおさら。

日本ガイシホールでのライブ翌日、店長からの電話が鳴った。「昨日は来てくれてありがとう。どうだった?」。ちょっと照れくさそうだった。そして、「(次の目標を)ナゴヤドームって言っちゃったよ。そこまでまた一緒に応援してくれよ。友達100人な」と。

それから約1年後。店長がチームしゃちほこの担当を変わると決まってから少し経った時のこと。店長から1通のメールを受け取った。いつになく大真面目なテンションで、それまでの感謝を伝えてくれたと同時に、「若いスタッフを育ててあげてね。それまでのことを俺は君にしたつもりだからさ」と記されていた。

5人での時間も残りわずか……ライブは終盤になっていた。卒業する伊藤へ向けた秋本の送る手紙、そして涙は、今のチームしゃちほこの全てが詰まっていたように思う。それでも、ナゴヤドームという目標を変えることなく、また走り出すと決意した彼女たちがカッコよく、誇らしくもあった。

店長が1年半前、日本ガイシホールで掲げた目標「ROAD to ナゴヤドーム前矢田」は、新たなスタッフとTEAM SHACHIへと受け継がれた。僕にできることなんてちっぽけではあるけれど、生まれ変わった「TEAM SHACHI」が走る姿を、これまでと変わらずに応援したいなと思っている。大好きな「チームしゃちほこ」改め、「TEAM SHACHI」が、夢の舞台へ立つその日まで。

text=飯田貴雄(B.L.T.編集部)

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.22 Mon「“TEAM SYACHIHOKO”THE LIVE〜FINAL〜」@愛知・Zepp Nagoyaより

チームしゃちほこは4人体制へ移行、グループ名はTEAM SHACHIへ。その初陣となる10月23日に行われたライブ「全速前進」(愛知・Zepp Nagoya)での様子。

 

10.23 Tue「全速前進」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.23 Tue「全速前進」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.23 Tue「全速前進」@愛知・Zepp Nagoyaより

 

10.23 Tue「全速前進」@愛知・Zepp Nagoyaより

●PROFILE
秋本帆華
honoka akimoto
’97・11・15愛知県出身。蠍座。A型。

大黒柚姫
yuzuki oguro
’97・7・18愛知県出身。蟹座。B型。

坂本遥奈
haruna sakamoto
’99・2・2愛知県出身。水瓶座。O型。

咲良菜緒
nao sakura
’97・9・10愛知県出身。乙女座。A型。