LinQ 一ノ瀬みく&深瀬智聖 卒業直前ロングインタビュー

「29歳、アイドルの決断」

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 一ノ瀬みく、深瀬智聖、ともに29歳。
24歳からLinQのメンバーとしての活動をスタートさせ、1期生として、5年間のアイドル生活を送ってきた。
そんなふたりが、6月26日(日)に地元・天神ベストホール(福岡)で行われる卒業公演を最後に、その活動にピリオドをうつ。
今回、6月16日(木)にAKIBAカルチャーズ劇場で行われた東京でのラストライブ後を直撃し、
5年間のアイドル生活を振り返ってもらうことにした――。

 

オーディション会場でお母さんに間違えられるところからのスタート

――こうやって食事をしながら、メンバーと語ることってありますか?
(※東京でのラストライブ後、ふたりとライブ出演メンバーの打ち上げの席にて、インタビューを行った)
深瀬「飲みに行くことはあまりないですけど、食事へ行くことは多いですね」。
一ノ瀬「だいたいLinQの話をすることが多いよね」。
深瀬「意外とまじめな話をしていると思います。『今日は、LinQのことを忘れて盛り上がろう……』ってなるんですけど、最終的には、『LinQ、がんばろうよ』みたいな、LinQについての話になることが多いです」。
一ノ瀬「やりたいことや、いろいろなことに対する気持ちが大きいからね」。
深瀬「願望はあるけど、なかなか実現できなくて、もどかしい思いもたくさんしました」。
――今回は、おふたりのアイドル生活を振り返って、いろいろなお話を聞いていきたいと思っています。そもそも、おふたりがLinQのオーディションを受けるきっかけは、どんなところだったんでしょうか?
一ノ瀬「当時、モデル事務所に所属していて、そこの社長から、『アイドルのオーディションがあるけど、受けてみない?』って言われたのがきっかけです。その時は、イベントコンパニオンみたいな仕事をしていて、ちゃんとした芸能のお仕事にもチャレンジしてみたいと思っていた時期でした。東京の事務所へ話を聞きに行ったり、雑誌のモデルのオーディションも受けたりしていましたね。ちょうど何でもやっていた時期です」。
――ちょうどいいタイミングで、LinQのオーディションがあったわけですね。
一ノ瀬「“アイドルのオーディションって、どうなんやろう?”って思っていたんですけど、ちょうどその前にE-girlsさんのボーカルオーディションに応募したにもかかわらず、足のケガでオーディション会場へ行けないという悔しい思いを経験したことがあって。チャレンジできないことで味わう悔しい気持ちがあったので、LinQのオーディションは、まずは、チャレンジしてみようと思って受けに行きました」。
――そして、オーディション会場へ足を運ぶ……。
一ノ瀬「私は、アイドルって柄じゃないけど、勇気を振り絞って行ってみたら、マジでまわりが子どもみたいな子ばっかりで(笑)。同じグループだった(深瀬)智聖ちゃんも、黒髪でまだ髪も長くて、清楚に見えたので、これは場違いだと思いました。オーディションの審査も担当していた(元LinQメンバーで初代リーダーの)上原あさみからは、『ギャルが散歩にきたみたい』って言われたんですよ(笑)。マジで帰りたくなったんですけど、『ここまで来たら、帰れん』と思って、そのまま参加しました」。
深瀬「私も、同じグループだった(大石)芽依ちゃんのお母さんと間違えられたよ。『お母さん、こちらです』みたいな(笑)」。
――(笑)。深瀬さんがオーディションを受けたきっかけは?
深瀬「当時は、バスガイドのお仕事をやったり、勉強のために実家を離れて、いろいろなお仕事を経験したりしていた時でした。そして、いよいよ家業をしっかり手伝おうと思って実家に戻ってみたら、何もなかったんです。私の地元は熊本なんですけど、家のまわりは田舎なので、若い人もいなくて。『この町をどうにかせんといかん』って思っていて、小学校からやっていたダンスを子どもたちに教えたりできんかな、とか考えていました。そしたら、ちょうど友だちが、LinQのオーディションのことを教えてくれたんです。『もしも、うちが有名人になったら、町が喜んでくれるんやないかな』っていう思いもあって、オーディションを受けることにしました」。
――地元のために、貢献したい……。とてもステキなことですよね。
深瀬「応募の対象年齢も、ちょうど24歳まで大丈夫だったので、ギリギリ受けることができました。普通は、20歳までとか、そういうオーディションが多い中で、“これもなにかの縁だな”って思って。九州を盛り上げられるアイドルっていうところに惹かれました。熊本のために、貢献したかったんです。アイドルに興味があったわけじゃないけど、ダンスは小学生のことからやっていたので、ダンスを通して、地元をPRできればと思っていました」。
一ノ瀬「私は、そこまでのことを考えていなかった(笑)」。
――そうこうしているうちに、無事にオーディションに合格。アイドル生活をスタートさせますね。24歳からアイドルを始めましたが、大変なこともあったんじゃないかな、と。
深瀬「理想と現実は違いますよね。デビュー当時から、年齢という壁で苦しみましたよ。ファンの方や関係者の方にも、年齢を言うと、びっくりされることが多くて。せっかく初めて行った東京遠征の物販で、ファンの方に『年齢いくつなの?』」って聞かれて、『24です』って答えると、『へぇ……』ってかんじで(笑)。ショックもありましたけど、『現実はこういうことなんだ』って実感しました。つらかった時も正直あったけど、今は、それをネタに変えられるくらい強くなったなって思います」。
一ノ瀬「最近は、私たちがいることが当たり前になっているっていうのもあるけど、昔は、“ババア”って言われよったよね」。
深瀬「でも、私たちがここまでやってこられたことで、“年齢に関係なく、アイドルができる”ってことは、少しは証明できたんじゃないかなって思います。まあ、アイドルは若いに越したことはないなって思いますけど(笑)」。
――でも、アイドルを目指す以上は、“センターになりたい”とか、“中心メンバーでいたい”とか、そういう思いもきっとありますよね。
一ノ瀬「それはありますよ、もちろん。アイドルって若い子が目立つ世界だって思っていたから、若いうちから経験を積んで、成長していくっていうところも考えると、24歳からのスタートは、かなり厳しいだろうなって思っていました。だからこそ、若い子たちに負けたくないっていう思いもあったし、人気や立ち位置で勝てないぶん、歌やダンスのパフォーマンスでがんばろうっていう思いは強かったです。年上としての威厳だけは、しっかり保とうと思っていました」。
深瀬「私も、もちろん目立ちたいし、中心にいたいなって思っていました。でも、その時から、自分の年齢や経験を武器にしようって思っていましたね。『大人として勝負するしかないやん』って。バスガイドをやっていた経験は、一度はみんなの目にとまってくれるやろうって思っていたし。だから……、“目立ちたい”とは少し違うかもしれないけど、“自分がこのメンバーの中で、どういうキャラでいくか”っていうのを模索していました」。

10代にしかない表情や気持ちを大切にしてほしい

――少し話が脱線しますが、やっぱりアイドルは若い方がいい……というのは感じますか?
深瀬「LinQでいうと、お姉さんチームのLadyと、年下組のQtyがあるんですけど、やっぱりアイドルとしては、Qtyが正統派であって、私たち年上組のLadyは、どちらかというとマニア向けになるので(笑)、若さは大事だなって思いますね。LinQの場合、若い子たちがしっかりアイドルをやっていることで、Ladyのお姉さんの味が出るといいますか、おもしろい話や下世話な話が対になって成立すると思うので」。
一ノ瀬「最近のQtyの子たちは、どこか落ち着いてしまっているところがあるよね。もっと初々しさを出してもいいんじゃないかなって思う」。
深瀬「私たちを目指してほしいと思わないし、アイドルらしさをもって、がんばってもらいたいなって。あんなにかわいいんだから、髪の毛の色とか、もっと落ち着かせてもいいんじゃないかな、って思ったりもします」。
――自分自身が10代でアイドルをやっていたら、ちゃんと“アイドル”をやれていたと思いますか?
深瀬「私は完全にグレてますよ。たとえば、『恋愛禁止』なんて言われたら(笑)」。
一ノ瀬「わからないですけど、私はもしかしたら、ルールを守らずに、恋愛していたかも(笑)」。
深瀬「私、小学生のころに通っていたダンススクールの先生が厳しくて、『小学生は小学生らしくいなさい』ってよく言われていて。でも、まわりを見たら、自由な生活を送っていて、自分の生活を窮屈に感じていました。高校時代に、ルールに縛られるのがイヤで、ダンスを辞めたんですけど、髪型も何もかもが自由な世界に触れたら、それが楽しいということを知ってしまって」。
――10代は、“ルール”と“自由”の狭間で、気持ちが揺れるんですよね……。
深瀬「こんなこと言っていますけど、やっぱり10代ってあっという間だし、その時にしかない表情だったり、気持ちだったりがあると思っていて。そういうものがやっぱり年を重ねるごとになくなってくるんですよ。だから、今アイドルをやっている子は、そういった自由を犠牲にしてでも青春をアイドルに費やしてほしいし、そこがアイドルとしての魅力だと思うんですよね」。
一ノ瀬「アイドルを客観的に見たら、そういうがんばっている子を応援したくなるからね」。
深瀬「クラスの中でも、ちょっとかわいい子が、汗だくで努力している、それがすごくかわいいなって思うんです。だから、アイドルって、犠牲にしているものがあるからこそ、応援したくなるものなんですよ。何度も言いますけど、アイドルは、若い子ががんばっているのがいいんだと思います。私は、OLみたいなことも経験してきた人間なので(笑)」。
一ノ瀬「若い子が、純粋に前だけを見て、明るい未来を目指して、そこに向かって一生懸命がんばっている姿がいいじゃないですか。だから……、やっぱり若い方がいいです(笑)」。
深瀬「“華の10代”だからね」。
一ノ瀬「でも、若い子は、これがわかんないんだよねぇ(泣)」。
深瀬「若い子には、ムダにしてほしくないですね、“今、この瞬間”を」。

常に卒業と隣り合わせのアイドル人生

――話を戻します。さて、5年の歳月が過ぎ、卒業を迎えようとしているおふたり。24歳から29歳までをアイドルとして過ごしてきて、節々に、“卒業”を意識することって、ありましたか?
深瀬「もう、それはオーディションの時からですよ」。
一ノ瀬「うちらは、オーディションの時に、統括プロデューサーに言われていたんです。『もう24歳だから、LinQに入っても1年くらいしかできないと思うけど、大丈夫? もし選ばれても、君たちは踏み台になるよ』って。それでも、『全然大丈夫です!』って答えたんですけど」。
――それでも、ここまで続けてきた――。
一ノ瀬「結成して1年くらいした時に、“卒業するかも”っていうタイミングがあったんです。その時は卒業の話は流れたんですけど、それから今日まで、ずっと卒業と隣り合わせでしたね」。
深瀬「自分の心の中で、“いつか決めないかん”っていうのは、ずっとありました」。
――実際に、自分の口から卒業を切り出したことは?
一ノ瀬「私は、運営の方に3回くらい言いましたね。『そろそろ卒業のタイミングだと思います』って」。
深瀬「私も何度か運営の方に相談したことがあります。進んで“辞めたい”という気持ちがあったとかではなく、自分の道に不安もあったし、『このまま自分がおったら、LinQにとってマイナスなんじゃないか、自分が必要ないんじゃないか』って思ってしまって」。
一ノ瀬「LinQとして、年下の子たちを支えたり、バックアップしたりすることも大切ですけど、やっぱり、ひとりのタレントとして、自分が成長していく方法を考えたいと思っている部分がありました。自分のやりたいことにチャレンジしていきたいという思いは、2、3年前から持っていましたから」。
深瀬「ふたりで時々、話していたよね。この先のことについて」。
――そうやってタイミングを見ていた中、今年の2月にそのタイミングがきました。
深瀬「2月に行われたシングル『Supreme』のMV撮影前日に正式に決めました。運営さんから提案があったので。自分の中でも、5周年あたりを終点にしたいと思っていたし、7月に迎える30歳の誕生日を前に区切りをつけたいなって思っていたので、本当にいいタイミングだったなって思います」。
一ノ瀬「智聖ちゃんとは別々に話をされましたけど、運営の方からは、私も同じタイミングで提案を受けました」。
深瀬「そこからは、結婚が決まるみたいに、トントン拍子でしたね」。
一ノ瀬「とてもいいタイミングだったし、私もすごく納得しました。30歳まではできないし、年内いっぱいかなって思っていたので。ただ、私が昨年末の生誕祭で、『自分のなかでも達成できていないことがあるから、リミットを決めずにがんばります』って言ったので、運営の方は、私に卒業を切り出しづらかったみたいです」。
――MV撮影では、すでに卒業が決まっていた松村くるみ(元メンバー)含め、3人がバスを下車して、卒業を想起させるシーンが用意されていましたよね。
一ノ瀬「その演出が決まっていた中で、撮影前日に卒業を打診されたので、その場で、卒業するかどうか、返事するしかないっていう状況でもありました(笑)。迷いはなかったので、その場で『OKです!』って言いましたけど」。
――MV撮影当日は、まだ他のメンバーには、ふたりの卒業が発表されていなかったとか。
一ノ瀬「内緒にしてMVの撮影をする予定だったんですけど、結果的にバレてしまったんです。すでに卒業が決まっている松村くるみと、そのシーンを撮影している時に、私と智聖ちゃんが一緒にいるところを(杉本)ゆさが見ていて、『くるみが卒業するからバスを降りるシーンを撮影しているっていうことは、ふたりも卒業するってこと?』って。ゆさが泣き出したんですよ」。
深瀬「『あ、バレた!』って(笑)」。
一ノ瀬「それで、『どうしよう』ってなって、メンバーみんなに、その場で発表することにしました」。
――メンバーの反応は?
深瀬「みんな呆然と立ち尽くして、泣いている子もいましたよ。(リーダーの天野)なつは、過呼吸寸前でした。でも、私たちはずっとLinQにはおれんし、いつか来るタイミングがここできたんだなって思いました」。

「ハレハレ☆パレード」を踊りながら、涙が止まらなくなって……

――卒業を発表してから、4カ月が経ち、6月26日(日)の卒業がすぐそこに控えていますけど、実感はわいていますか?
深瀬「実は、あんまり卒業に対する実感がないんですよ」。
一ノ瀬「ここまであっという間でしたけど、実感はないですね」。
――5月5日(木)に行われた5周年ライブでも?
一ノ瀬「その時は、あったかもしれないですね。Zepp Fukuokaでライブができるのも最後でしたし」。
深瀬「私もその時は、ありました。しかも、熊本で起きた地震の影響で、予定していた4月17日(日)の開催が延期になったりして、『最後なのに、なんでできないの?』っていう不安があって。地震が起きて、延期の発表があるまでのレッスンは、気が気じゃなかったです」。
――複雑な心境で迎えた5周年でしたよね。
深瀬「ライブができないことも悔しかったんですけど、地元・熊本や家族たちが苦しんでいるのに、行くこともできず、『なんで、こんなところ(レッスン場)で踊ってるんやろ?』って、どうしていいかわからんくなっていました」。
一ノ瀬「(同じく熊本出身の)くるみも、家のことが心配で、『それどころじゃない』って」。
深瀬「ただただ、何のためにリハーサルをやっているのか、わからない時間を過ごしていました。(本当は元気が出るはずの楽曲)『ハレハレ☆パレード』を踊りながら、涙が止まらんくなってきて。先生たちも、『自分たちにしかできないことをやるしかない』って言っていたんですけど、そんなことわからなかったし、『何やっとん!』って、自分にイライラしていました。その日のうちに延期が決まって、ライブができるってわかり、よかったなって思いましたけど、複雑な気持ちのままの時間を過ごしていましたね」。
――さて、卒業公演がすぐそこまで近づいてきています。
深瀬「これからは、『LinQの深瀬智聖です』って言えなくなるんですよね。今後は、“ただの深瀬智聖”になるんだなって。でも、やりたいことがいっぱいあるので、ひとつひとつやっていけたらいいなって思います」。
一ノ瀬「私も、自分のやりたいことに時間を費やしていきたいなって思っています。LinQとして、歌もダンスも経験を積んできたんですけど、個人として、またしっかり練習もしていきたいなって思っています」。
――年齢的には、結婚も考えたり?
深瀬「考えますよ(笑)」。
一ノ瀬「私は、まったくゼロ。仕事ができていれば、幸せですよ。好きな人ができた時に、結婚したいと思うんだろうなと思います」。
――6月26日(日)は、どういう卒業公演に?
深瀬「自分たちで考えた公演をやらせてもらいます。“LinQってこうだよね”という公演にしたいっていう思いがあるので、私たちが歩んできた道、ステージをお見せしたいですね。忘れられない、私たちを忘れないでいてもらえる、そんなステージにしたいです」。
――最後に、ファンの方へのメッセージを!
一ノ瀬「ありがとう!」。
深瀬「シンプルに“ありがとう”っていう言葉だよね」。
一ノ瀬「うちらのことなんかを見てくれてありがとう。笑顔で受け止めてくれて、応援してくれるって言ってくれて」。
深瀬「24歳からのスタートだった私たちって、すでにアイドルとしての期限が決まっているから、私たちを推すことって、リスクだったと思うし、それでも応援したいと思ってくれるのがうれしかったですね。アイドルとして、ひとりの人間として、応援してくれているんだろうなっていうのが本当にうれしかった」。
一ノ瀬「本当にありがとう!」。

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●PROFILE
一ノ瀬みく(いちのせ みく)
’86・12・26福岡県出身。山羊座。B型。

深瀬智聖(ふかせ ちせい)
’86・7・8熊本県出身。蟹座。B型。

LinQ(りんく)
九州を拠点に活動をするアイドルグループ。
最年長コンビの一ノ瀬みく&深瀬智聖は、6月26日(日)に天神ベストホール(福岡)で行われる公演で、グループを卒業する。

text=飯田貴雄