大人の世界に染まった僕らに必要な存在、それが私立恵比寿中学

2011年8月6日、B.L.T.が発行した「3Bjunior BOOK 2011 summer」の発売記念イベントである「3Bjuniorの夏祭り」のイベントスタッフとして、夏真っ盛りの吉祥寺PARCO屋上に僕はいた。そこでは、「3Bjunior BOOK」に登場したスターダスト芸能3部所属の女の子たちが歌って踊ってトークをしていたのだが、その日、初見で最も衝撃を受けたのが、私立恵比寿中学だった。なんだこのへんてこな楽曲は、と。そして、なんだこの中学校の学芸会は、と。当時、まだアイドルには全然詳しくなく、AKB48しかアイドルの知識がない僕にとって、初めて見たエビ中のライブは、僕のアイドル観を一新させた。

その日以来、エビ中のライブを見る機会が増え、そして気づくと、早くステージで彼女たちのパフォーマンスを見たい気持ちになっていた。その要因はなんだろうかと考えたとき、答えとして浮かび上がってきたのが、まずは“楽曲のへんてこさ”だった。「えびぞりダイアモンド」「ザ・ティッシュ〜とまらない青春〜」「エビ中一週間」「オーマイゴースト?〜わたしが悪霊になっても〜」「ご存知!エビ中音頭」など、当時はまだメジャーデビュー前だったにもかかわらず、挙げたらきりがない。“かわいい”でもなく“カッコいい”でもない。ロックでもなければバラードでもない。これらの曲を表現するのに最も適した言葉が、“へんてこ”なのだ。曲調、メロディー、歌詞、すべの要素が、これまで概念として僕の中にあった、いわゆる正統派なアイドルソングとは異なるものだった。しかし、その違和感こそが僕を惹きつけていた要因そのもので、もっと自分の中にあったアイドルソングの概念を壊してほしい、という思いにさせてくれたのだ。また、違和感を感じていたにもかかわらず、ずっと見ているとそのうち、中学生の女の子たちがその“へんてこ”な曲を歌って踊っている様が異様にマッチングしているように感じていった。また、その“へんてこ”な曲があることによって、「チャイム」「どしゃぶりリグレット」「永遠に中学生」「イッショウトモダチ」といった、いわゆる誰が聞いても良い曲と評価をするような楽曲がより一層映えるのだ。

そして、もうひとつの要因として浮かび上がったのが、“中学校の学芸会感”である。登場する際のSEが学校のチャイムから始まる演出、中学生の女の子が踊っていてなんら違和感のない等身大の振り付け、適度に削ぎ落されたアイドル感。彼女たちのパフォーマンスを見ているときの感覚は、まさに中学校の学芸会で子どもが出し物を披露するのを温かい目で見る父兄のそれに近いものがあったのだ。さらに当時は、不安定な歌とダンスのクオリティーもその“中学校の学芸会感”に拍車をかけていた。それは突き詰めると、“子どもががんばっている様子を応援したくなる”という感覚に、“自分の青春時代を思い返して懐かしい気持ちにさせてくれる”という懐古の意味も含まれていた。それもまたある種、僕の中にあった概念を壊してくれた、ということに繋がる。完璧なパフォーマンスを見て感動するでもなければ、キャピキャピしたいわゆる“ザ・アイドル”なパフォーマンスに萌えるでもなく、全力でがんばっている姿に胸を打たれるでもない。また新しいアイドルのライブの概念を、僕の中に打ち立ててくれたのだった。

その後、メジャーデビューを果たし、瞬く間に人気になっていったエビ中だったが、最も驚くべきは、先に述べた2つが、どんなに成長して規模が大きくなってもブレていないところにある。“楽曲のへんてこさ”は、そのまま“多様な音楽生”へと昇華させ、次から次へとこれまで聞いたことのないようなアイドルソングを生み出していく。その中で、「仮契約のシンデレラ」「未確認中学生」「Lon de Don」など、メジャーデビュー以前の“へんてこさ”を持った楽曲があったり、「スターダストライト」「アンコールの恋」「ラブリースマイリーベイビー」「スーパーヒーロー」など、いわゆる“普通に良い曲”があったりすることで、彼女たちの音楽の幅はこれまで以上に広がっていった。ここではあえて、その“多様な音楽性”について多くを語ることはしないでおこう。

“中学校の学芸会感”に関しても同様、成長して歌やダンスのクオリティーがどれだけ高くなっても、まったく失われなかった。どれだけライブ会場の規模が大きくなっても、変わらぬままなのである。それはひとえに、前述した演出や振り付けなどが、“中学校の学芸会感”を出すことを前提にして常に作られているからのように感じる。中学校の学芸会で、子どもがクオリティーの高い出し物を見せてくれている感覚である。どんなに成長した彼女たちのパフォーマンスを見ても子ども心を思い出させてくれる、それこそがエビ中の1番の強みと言っても過言ではない。

大人の世界に染まってしまった僕らに、忘れかけていた大切なものを思い出させてくれるのが、私立恵比寿中学というアイドルなのである。

 

●PROFILE
真山りか(まやま りか)
’96・12・16東京都出身。射手座。A型。
安本彩花(やすもと あやか)
’98・6・27東京都出身。蟹座。O型。
廣田あいか(ひろた あいか)
’99・1・31埼玉県出身。水瓶座。A型。
星名美怜(ほしな みれい)
’97・11・2神奈川県出身。蠍座。B型。
松野莉奈(まつの りな)
’98・7・16東京都出身。蟹座。A型。
柏木ひなた(かしわぎ ひなた)
’99・3・29千葉県出身。牡羊座。B型。
小林歌穂(こばやし かほ)
’00・6・12埼玉県出身。双子座。A型。
中山莉子(なかやま りこ)
’00・10・28東京都出身。蠍座。O型。

私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)
3rd full Album「穴空」が発売中! 全国14都市15会場をまわる春ツアー「私立恵比寿中学JapanホールKeikiiiiツアー2016~the snack bar in gakugeeeekai~」(5/27(土)NHKホールほか)を開催中。また、小林歌穂生誕ソロライブ(6/13(月)品川ステラボール)の開催が決定!
その他詳細は私立恵比寿中学公式HPをチェック!
http://www.shiritsuebichu.jp/

 

B.L.T.にて好評連載中!
http://blt.zasshi.tv/list/201606.html

 

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