【こちら月刊PAM編集部‼】vol.11 月刊PAMデビュー1周年ワンマンライブ「SWIM IN」ライブレポ

 2023年2月にプレデビューし、同年7月に本格デビューを果たした、雑誌が大好きな船井美玖宇都宮未来の2人=月刊PAMが、あらゆる「編集」をコンセプトに、定期ライブのゲストとのトークなどに挑戦する本連載。第11回は、第10回に続く特別編として、8月11日に東京・渋谷eggmanで開催された本格デビュー1周年ワンマンライブ「SWIM IN」をレポート!

 開演前──会場の渋谷eggmanには、満員のファンが詰めかけている。東京はこの日も猛暑日を記録したが、ファンたちが放つのは外の気が遠くなりそうな暑さとは異なる、心地良い熱だ。それは、デビューから1年で成長した2人の今をこの目と耳で確かめたいという思い、そして2年目に向けた新たな1歩に対する期待感から生まれている熱だった。

 開演時間が過ぎ、ステージのスクリーンに「春の夜に月と泳ぐ」のMVが映し出される。その映像に合わせ、船井と宇都宮が交互にポエトリーリーディングをしていく。そして、スクリーンに映し出されるこの日のライブタイトル──「SWIM IN」。満員の会場から拍手が起こり、スクリーンが上がる。ファンにはお馴染みのSEの後、2人がステージに登場し、宇都宮が歌い出す。1曲目は、「遠い部屋」だ。疾走感があるサウンドと、翳りと重みを感じるメロディのコントラストがインパクトを残す。そこから「letters」へとつなぎ、3曲目に披露したのは「春の夜に月と泳ぐ」。しなやかで繊細なボーカル表現が必要とされるこの曲で、PAMはそれまでにない新境地を開いた。アイドルファンはもちろんだが、それ以外の音楽ファンにももっと評価されていい楽曲だ。4曲目では、「新曲やります! 聴いてください!」と宇都宮が叫び、「summer noize」を披露する。真夏の強すぎる日差しのように、気持ちの何かをどこかへ駆り立てるようなサウンドに乗る、2人の情熱的な歌。初披露の新曲だが、ハンドクラップが発生する。きっと2人も、確かな手応えを感じ取ったはずだ。

 その後はライブ本編からアンコールにかけて、ヤマモトショウが書き下ろした現時点でのPAMの代表曲「くゆりゆく」やホフディランの小宮山雄飛が手がけた「細胞レベル」、その小宮山のソロプロジェクト・BANK$のカバー「さいきんぼくは」、PAMの音楽プロデューサー・オガワコウイチによる「息をする旅」、さらにはPAMのライブにおける鉄板曲となった「Drifter」や「ニューロマンサー」、「Plan」(すべておやすみホログラムのカバー)、テーマ曲的ナンバー「What the PAM?」、「スマイルスマイルスマイル」など、デビューから現在までのPAMに欠かせない、それぞれに意味や思いがある多彩なナンバーがパフォーマンスされた。そこには、キュートでポップでエモーショナルなPAMの魅力が、しっかりと凝縮されていたと思う。そんな中、最も印象に残ったのは、本編の7曲目とアンコールの2曲目に披露された新曲「happy end」だ。チルでエレクトロな冒頭から徐々に徐々に熱を帯びていき、中盤以降にまるで夜が明けていくようにキラキラとした高揚感を増していくミディアムチューンなのだが、これが素晴らしかった。「春の夜に月と泳ぐ」ともまた異なる新基軸で、抑制の効いたサウンドに2人の噛み締めるように歌う声がよく映えて、これまでにない魅力を放っていたのだ。

 アンコールも含め、全15曲。月刊PAMのデビュー1周年記念ライブ「SWIM IN」が終わった。月刊PAMの現在地が知れる、とても良いライブだったと思う。アイドルに限らず、シンガーソングライターにせよ、バンドにせよ、ライブで初披露した新曲が良いかどうかで、次への期待値は大きく左右されるものだ。新曲が良かった場合は、「早く次のライブが見たい」「もっと新曲が聴きたい」と思うはずだし、逆にイマイチだなと感じたら、次のライブや新たな楽曲への期待値がグンと下がる。この日に初披露されたPAMの新曲は、2曲とも間違いなく前者だった。特に「happy end」は、ライブを重ねれば重ねるほど、新たな月刊PAMのアンセムになる可能性を秘めている。かつて、桜エビ~ず(現ukka)が「キラキラ」や「リンドバーグ」、「それは月曜日の9時のように」などの名曲を連発し、ライブでの熱演を重ねることでコール&レスポンスや大合唱が発生するアンセムへと大切に育てていったことがあった。それと同じ匂いが、「happy end」からは感じられたのだ。月刊PAMに、「happy end」という楽曲を大事に大事に育ててほしい。そう強く願うと同時に、これから生まれてくる新曲への期待もぐっと高まった。

 デビューから1年の軌跡と成長、2年目へのさらなる期待と新たな可能性を感じさせたライブのタイトルは、「SWIM IN」。その意味は、「泳いでみよう」だ。2025年3月7日に、過去最大規模のワンマンライブが東京・渋谷wwwで開催されることが、ライブ終了後に発表された。その日に向かって、PAMはPAMらしく、2人は2人らしく、アイドルシーンという大海原を自由に泳いでいくのだろう。荒波にもまれることもあるのだろうけれど、この2人ならきっと笑顔で楽しみながら泳ぎ続けて、まだ見ぬ新天地へとたどり着く。そう期待させてくれるライブでもあった。

取材・文/大久保和則 写真/シミズソウタロウ

◯月刊PAM X /Instagram/YouTube

船井美玖(XInstagram)と宇都宮未来(X/Instagram)によるガールズユニット。編集部をコンセプトに2023年7月デビュー。圧倒的な歌唱力を武器としたパフォーマンスに定評がある。

’25年3/7(金)、 渋谷WWWにてワンマンライブを開催予定。

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