2023年2月にプレデビューし、同年7月に本格デビューを果たした、雑誌が大好きな船井美玖と宇都宮未来の2人=月刊PAMが、あらゆる「編集」をコンセプトに、定期ライブのゲストとのトークなどに挑戦する本連載。第9回は、同じ2人組ユニットの先輩で、“アユスク”の愛称で知られるI to U $CREAMing!!をゲストに迎え、PAMの2人がインタビュー! 2人組同士だけに、2人組ならではのメリットや2人だけだからこその悩み、それぞれの関係性などを語った。後半には、取材後に東京・下北沢MOSAiCで開催されたツーマンライブ「月刊PAM6月号」のライブレポートも掲載。
宇都宮「アユスクさんをいつ知ったかって、なんか気付いたら、いつの間にか認識してたっていうか」
船井「アイドルがたくさん出るライブイベントで一緒になることはあったけど、ライブの時間が離れていたなって印象がある。それと、月刊PAMとして活動し始めてから、最初に知った2人組アイドルがアユスクさん。2人組のアイドルってそんないないだろうと思ってたけど、実は結構いて、その最初がアユスクさんだった(笑)」
哀原なな「私は、初めて楽屋が一緒になった時のことを覚えてます」
有未りん「楽屋で聞こえてくる2人の会話が、美に関するものが多くて。なので、美意識の高い方たちなんだな、グラビアをやられていると違うんだなと思っていました(笑)」
船井「美に関する話をしてるのは、全体の1%(笑)」
宇都宮「あとの99%は、変な会話してるから(笑)」
船井「美に関する話をしてて良かった(笑)」
哀原「2人でたくさん話してて、仲がいいんだなって思いました。私たちは、あんまり話さないので」
船井「どうしてお話しないんですか?」
哀原「出会って十数年……」
有未「話すことがない(笑)」
宇都宮「十数年! そもそもの出会いは?」
有未「一番最初に出会ったのは、別のグループに所属していた頃です。そのグループに哀原が入ってきて、今に至るっていう」
宇都宮「私たちPAMも、ほぼほぼそんな感じです」
船井「2人組って、2人組あるあるがあると思うんですよ」
宇都宮「アユスクのお2人は、どんなあるあるが?」
有未「ステージの使い方が難しいところですかね」
哀原「センターが空いちゃうっていう。あと、2人だから対照的な振付を考えなくちゃいけないとか」
宇都宮「私たち、そんなにしっかりは踊らないんですよ。挑戦したいけど、なかなか難しくて。でも、2人組の良いところは、シンメトリーの振付でもそうじゃなくても、どっちも良く見えるっていうか、どっちかが間違えてもなんとかなるみたいな(笑)。そこに、私たちは助けられています(笑)」
船井「アユスクさんのダンス動画を見させていただいたんですけど、揃いすぎててびっくりしました。韓国のアイドルみたい!」
有未「いやいや(笑)」
宇都宮「完璧すぎて」
船井「びっくり。あんなに踊れるようになりたい!」
宇都宮「ほかにも、アユスクさんが感じている2人組あるあるってありますか?」
哀原「2人なので、5人とか6人のグループに比べると1人あたりの歌割りが多いから、体力の消耗が激しいなっていうのは感じます」
宇都宮「2人で歌って踊ってだと、忙しくてどうにもならない部分がありますよね」
船井「だから、うちらはダンスを控えめにして。アユスクさんは100%で歌って、100%で踊ってますよね」
宇都宮「本当にすごいなーって思います」
有未「ソロアーティストのすごさが分かりますよね。全部を1人でやってるんですから。2人組あるあるだと、どっち派みたいな派閥がファンの間で生まれやすいとか」
宇都宮「うちら逆で、どっちか片方だけ推すのが難しい、片方だけは推しにくいから箱推しになっちゃうって言われます」
哀原「私たちは、それぞれタイプが違いすぎるから(笑)」
宇都宮「私は、2人組だと遠征に行く時にコンパクトでいいなーって思います。6人とか、大変そう」
哀原「2人組は、交通費とかもコンパクトですからね(笑)」
有未「2人は、衣装ってどうやって決めてますか?」
宇都宮「2人ともどうしてもこうしたいっていうポイントがあって、それを衣装さんにお伝えして作っていただいています。例えば、肩を出すとか、ロングスカートがいいとか、それぞれのポイントを出して、そこからすり合わせて」
哀原「2人組の衣装って、作りやすくないですか。どっちに転がってもいいっていうか、8人とかだと形が全部違うとまとまらなかったりするけど、2人だとそれもないし。だから、2人組の衣装って作っててめっちゃ楽しい」
宇都宮「考えるの、楽しいですよね」
船井「アユスクさんはセルフプロデュースをされてますけど、完全セルフプロデュースですか?」
有未「そうですね」
宇都宮「じゃあ、どんな楽曲にするかも自分たちで?」
哀原「はい!」
宇都宮「月刊PAMも、最初はもっとプロデュースされるのかなと思ってたんですけど、意外とみんなで話して決めることが多いんです。何かを決める時、2人の間で意見の相違があった場合は、どうやって決まっていくんですか?」
有未「相談して、どっちかが折れるね(笑)」
哀原「そうだね(笑)」
有未「こうしたいってお互いの気持ちをぶつけて、それをうまいことどうにかして(笑)」
宇都宮「ぶつかることもありますか?」
有未「だいぶ多いです(笑)」
宇都宮「目指しているところは一緒だけど、ちょっとずつ違ったりしますもんね」
哀原「楽曲については、作詞している方がメインで、してない方は口を出さないことがほとんどです」
船井「作詞は、全部2人で?」
有未「全曲、2人のどちらかが作詞してます」
宇都宮「すごいですね! 私たちは、『こういう曲が欲しい!』っていう話をして手当たり次第に頼んでます(笑)。だから、楽曲に統一感があまりない(笑)。作詞は、作曲してくれた方がされているパターンです」
船井「好きな作曲家さん、好きなバンドの人に頼む。自分たちの夢も叶う(笑)」
宇都宮「2人っていうグループとしては最少の人数だと、好きなようにやりやすい部分が多いですよね」
有未「確かに、それは長続きの秘訣かもしれない」
船井「ほかに、完全セルフプロデュースの強み、面白みは?」
有未「さっき話が出たように、やりたい曲や頼みたい作曲家さんもそうだし、こういうアートワークにしたいとか、すべてのことに対して自分たちの好みを反映されやすい」
哀原「それによって、グループの色が出しやすいところはあると思います」
有未「パフォーマンスの見せ方とかも含めて、やりたいってことは全部できる。初期は、振付も自分たちでやってたんですよ。今は、手が回らなくって別の方にお願いしてますけど」
宇都宮「完全セルフプロデュースと言っても……」
哀原「実際には、大人がいたりしますよね。大人から『これやりたいんで、これやってください』って。でも、自分たちは本当に2人で」
宇都宮「責任が伴いそうですよね」
有未「そうですね。でも、もともとそんなにしっかりしてないタイプだったんですけど、完全セルフプロデュースで活動しているうちに、しっかりしてきた感じがあります」
船井「2人組ならではの大変なこともありますよね」
哀原「ワンマンの集客とか。2人だと、1人が5人ずつ呼んでも10人。6人組だと、1人5人でも30人の集客があるので」
宇都宮「でも、向き合っていくしかないですよね」
船井「セルフプロデュースの悩みは?」
有未「事務所に所属してない分、業界での繋がりがないし、なめられやすい。この6年ぐらいやってきて、やっとギリギリ今ぐらい知っていただけたな、時間がかかったなーって思います」
宇都宮「いつぐらいに手応えを感じ始めたんですか?」
哀原「結成4年目にVeats Shibuyaでやったワンマンライブぐらいからです。コロナによる制限が少しずつ緩和され始めた時期で、やっといろんな人の目に留まってきたかなって思います。そこから昨年の@JAMに出て、ちょっとずつ力が付いたかなって」
有未「もともとお客さん側の声出しがあまりないシネマティックなライブパフォーマンスだったんですが、それがコロナ禍で声出しとかができない状況にハマったところもあると思います。そこから規制が緩和されていった時期に、徐々にワイワイできる曲も増やしてうまく混ぜていって。そのあたりから、手応えが変わったと思います」
船井「バンドセットでのライブもしてますよね」
有未「めちゃくちゃ刺激的でした」
哀原「バンドセットのライブを見たことがきっかけで、その後のライブに来てくださる方もいて」
宇都宮「PAMは、まだバンドセットでのライブをしたことがないんですよ、バンドセットでのライブって、きっとPAMにとって変わり目になるだろうなと思うので、いつどこでそれをやるか」
有未「PAMの2人はハモリがあったり、歌に力を入れている印象があるので、バンドセットでのライブとは相性がいいと思います」
船井「うれしいです!」
宇都宮「ありがとうございます! 最初にお2人はあまり話さないという話がありましたけど、お休みの日に会ったりとかは?」
哀原「まったく会わないです(笑)。結成前は死ぬほど一緒にどっか行ってたけど、もう行き尽くしました(笑)」
有未「結成1年目ぐらいは、ディズニーとかも2人で行ったけど(笑)」
宇都宮「私たちは仕事も一緒で、プライベートでもほぼほぼ一緒なんですよ(笑)」
船井「2人でいる時以外、例えば私が高校時代の友達に会う時も、ほかのアイドルグループの誰かと遊ぶ時も、未来ちゃんのことを毎回誘うんです。で、未来ちゃんも来る。だから、未来ちゃんとはいつも一緒(笑)」
有未「アイドルさんのライブには、たまに2人で行くよね。見るポイントが近いというか、感想が一致しやすい」
哀原「この子が目を引くよね、とか。仲がいいグループのライブに行く時もあれば、イベントは被るけどそんなにしっかり見たことないから見に行くとか、いろいろありますけど、学びがありますよね」
宇都宮「私も、PAMを始めてからいろんなアイドルさんのライブに行くようになりました。同じアイドルとして、盗める部分はやっぱりあるなーと思います」
船井「私が好きなアイドルさんはキラキラしてるけど、自分はそんなふうには絶対になれない。だから、違う方向に進んでるっていう(笑)」
宇都宮「そういう学びもあるよね(笑)。というわけで、そろそろ時間になりますが、今回の出会いをきっかけに面白いことがしたいですよね。以前、今日のライブの会場のMOSAiCで2人組アイドルだけが出演するライブイベントがあって、PAMも出させてもらったんですけど、その時はアユスクさんがいらっしゃらなかったので、今度そういうライブイベントがあったらぜひ一緒に出たいです!」
有未「ユニットシャッフルとか?」
宇都宮「いいですね! 衣装交換とか楽曲交換もしたいけど、人数が違うと大変じゃないですか。だから、アユスクさんとまた共演した時にはぜひお願いしたいです! アユスクさんの曲って歌いたくなる曲、難しいけど歌えたらかっこいいなって曲がすごく多いので、歌ってみたい気持ちもあります」
有未「PAMさんは、写真を撮られるのが上手いじゃないですか。その撮影の様子を間近で見たい(笑)」
宇都宮「いつでも(笑)。とにかく2人組は自由度が高いので、これからも好きなことやりたいなって思います!」
有未「がんばりましょう! 一緒に!」
6月16日開催 月刊PAM6月号@下北沢MOSAiC ライブレポート
6月16日に東京・下北沢MOSAiCで開催されたライブ「月刊PAM6月号」は、定期ライブ恒例のミニトークからスタート。これもいつも通りだが、トークは宇都宮が進行役として引っ張り、船井が自由で楽しい空気を作るという形で展開。冠ラジオ番組を持っているだけあって、この2人のトークスキルの高さ、面白さには毎回感心させられる。
そんなミニトーク後、まずはアユスクのライブがスタート。真っ白な衣装に身を包んだアユスクの2人は、ドラマティックなメロディをじょうかんに満ちた歌声で「Boronia」を歌う。続く2曲目は、激しいビートとエモーショナルなボーカルが印象に残る「hikari」。間奏では、ハンドクラップが発生して会場に一体感が生まれていく。
そのまま、ミドルテンポのグルーヴとスタイリッシュなサウンドが耳に残る「float」をパフォーマンス。切ない歌を聴かせながら、エレガントなダンスパフォーマンスを見せてくれた。後半は、クラシカルなピアノの調べで幕を開ける「Ignite」、スイングするジャジーなサウンドで聴かせる「Devil’s trumpet.」、キュートなアイドルポップ「butterfly」を立て続けに披露し、幅広い音楽性と安定感のあるボーカル&ダンスでファンを魅了する。そしてラストは、疾走感たっぷりのサウンドの中でメロディが徐々に上昇していく「Wonder moon」で幕。月刊PAMのライブを前に、フロアの熱をしっかりと上昇させたアユスクだった。
続く月刊PAMは、アユスクが上昇させた熱を受け継ぐように、2人の歌の熱量が心をかき立てる「息をする旅」でライブをスタート。2曲目は、FRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」や「NWE KAWAII」で知られるヤマモトショウ作詞作曲編曲の「くゆりゆく」で、キュートにフロアを盛り上げる。現段階での月刊PAMの代表曲だ。
その後、最新曲の「春の夜に月と泳ぐ」、BANK$のカバー「さいきんぼくは」をパフォーマンスし、最後は「Plan」、「スマイルスマイルスマイル」、「ニューロマンサー」というPAMのライブには欠かせない鉄板盛り上がり曲でスパーク。アユスクの幅広い音楽性に負けず劣らずのバラエティ豊かな楽曲たちで、日曜日の下北沢を彩った。
I to U $CREAMing!!と月刊PAM。大人数グループが主流の現在のアイドルシーンにおいては決して多くはない2人組ユニットだが、そのライブの魅力でしっかりと2人組アイドルの可能性を感じさせてくれたライブだった。
文/大久保和則 写真/市川秀明
船井美玖(X/Instagram)と宇都宮未来(X/Instagram)によるガールズユニット。編集部をコンセプトに2023年7月デビュー。圧倒的な歌唱力を武器としたパフォーマンスに定評がある。
8/11(日)、 1周年ワンマンライブをShibuya eggmanにて開催予定。
◯I to U $CREAMing!! X
哀原ななと有未りんによるアイドルユニット、通称:アユスク。
完全セルフプロデュースで活動しており、こだわりの楽曲とメンバー自身の作詞による歌詞、練り込まれた世界観のライブパフォーマンスで人気を博している。
8/16(金)、duo MUSIC EXCHANGEにて6周年記念ワンマンライブを開催予定。