#2
兎にも角にもコーヒーが好きです。
大人になると味覚が変わると言いますが、それの初めてがコーヒーでした。
初めて飲んだのは、阿佐ヶ谷にある「gion」という喫茶店。
今でこそ、かなりディープなコの字型の居酒屋やスナックにフラッと入れる私ですが、
当時は謎のビビリが発動しがちだったので、お店の前を行ったり来たりしてなかなか入れませんでした。
結局メイド服姿の店員さんに興味を持ち入店。やはり、かなりディープ。
シックな雰囲気なのにブランコの席があったりと、とてもユニークな店内は当時の私にとってちょっとしたテーマパークみたいでした。
人気のあるメニューは、上にアイスの乗ったカラフルなソーダ水だったのですが、私はメイド服のお姉さんに「アイスコーヒー」「シロップとミルクは大丈夫です」と注文。
そんなこんなでたくさん背伸びをして飲んだ初めてのコーヒーはキンキンで、
すっきりとした苦味が染み渡っていく……美味い。
口の中に残る香りも嫌ではなくて、クセになる感じ。
なんでしょう、コーヒーってすごくちょうどいいんですよね。
その日、一段と言わず、五段くらい大人の階段を登った気持ちになりました。
↑私のうちに遊びにきた祖母と行った時の写真。喫茶gion.
そんなこんなでコーヒーにハマってしまい、最近では自分で入れるコーヒーを飲む機会が増えました。
お家時間やお仕事などで集中したい時はブラックコーヒーで、
お散歩の時や、気分転換したい時は普段あまり飲まない甘いカフェラテを飲んだりと、
シーンによって飲み分けています。
自分の機嫌の取り方リストにコーヒーが仲間入りしました(笑)。
自宅で入れる時は、薬缶でお湯を沸かして、温度は80度前後に。最初は回し入れて蒸らすけど、2回目以降は真ん中だけに……と一丁前にこだわっています。
それなのに、そうして丁寧に丁寧に時間をかけたコーヒーよりも、乱暴にドバァーっと熱湯を注いだ時の方が思わず「っうまぁ……」ってなったりする時もあるから、わからないものです……。
憧れから入ったコーヒーは、私の日々の習慣になっています。
↑原宿にある事務所に行く時によく立ち寄るカフェ「Luigi」
ここのカフェラテとバナナブレットが大好き。
コーヒーが好きになった今、新しく気になっているのはインド式に甘く煮出したチャイ。
飲んだことがないのだけれど、初めてはやっぱり本場のインドに行って、土器のコップで飲んでみたい。
現地の人は飲み終わった後のコップを地面に投げて割り、土に返す習慣があるみたいなんです。洗い物も出ないし、自然に優しいし、なんと効率的……!
仕事前に一杯のチャイを飲むことが、インドに住む人達の習慣なんだそう。
日々に寄り添う一杯。なんだか色々なことが回っていて、共存している感じがいいなぁと思います。私も味わいたい。コップはどうしても持ち帰りたくなるだろうけど、そこは我慢我慢。
行ってみたい所はまだまだ沢山あります。あまり予定を決め過ぎず、のんびり放浪したい。
そういえば先日、乗り換えで降りた駅のホームに伊豆・葉山行きの電車が止まっていて、とても魅力的でした……。
いつかこの連載で、一人放浪した時の話を書けたらいいな。
その時に持って行く本は、つげ義春先生の「貧困旅行記」と決めています。
話が脱線しましたが、
家でもお仕事先でも、人と交流する時も、
コーヒーが日々を密かに豊かにしてくれています。
今日の一杯。
さて、今回も今読んでいる本です。
こちらも短編小説。一年ぶりに開きました。
「私はあなたの記憶のなかに」 著者 角田光代
最後に読んだのがいつだったのか、なぜ分かるかというと……
ちょうど去年の夏、この本を持って乗った金沢の電車スタンプ。押していました(笑)。
#3は8月1日(月)の公開予定です。
●PROFILE
葵うたの aoi utano
’99・7・4埼玉県出身。蟹座。B型。
俳優・タレント。ドラマ「ガールガンレディ」などの出演経験があり、アニメ「Artiswitch」では主人公の声優を担当するなど、様々な分野で活躍中。発売中の「B.L.T.8月号」にも登場。10月1日公開の映画「わかりません」では、宣伝イラストを担当している。