このたび、連載をさせていただくことになった長沢裕です。私は福島県の生まれで、山や田畑に囲まれた自然いっぱいの場所で育ちました。森林に降り注ぐ木漏れ日とか、見渡す限りの田園や果樹園とか、そんな中で友だちと虫かごを下げて走り回ったり、裸足で畑仕事を手伝ったり、心の奥底にはそんな原風景が横たわっています。だから、高校生になっても、考えごとをしたいときはひとりで山歩きをして気持ちをリフレッシュさせることが日課でした。
自分にとって、そんな自然の大切さを実感したのが、東日本大震災。直接被害が及んだ地域ではなかったものの、原発事故の影響で外に出るのが単純に怖くなってしまい、あたりまえに感じていた自然の恵みとか、自然から与えられていたものの貴さを、改めて思い知りました。
その後、私は東京の大学へ進学します。自然が大好きな私は、大学のゼミでも体験農業をしていたのですが、農園へ行き、小さい頃の思い出が蘇ったりするたびに、「やっぱり自分はこういう場所が好きなんだなあ」と改めて感じたりしました。また、村上真平さんという、福島の飯舘村で被災されて三重県へ移住され、無農薬、無化学肥料の自然農園を営まれながら、人と自然とが共存する大切さを伝える講演活動なども行なっていらっしゃる方をゼミで知りました。私は「どういう暮らしをしているんだろう」という気持ちが抑えられなくなり、自分でアポをとり、夏休みに三重で半月過ごすことになりました。そこでの時間は私にとって本当に大きなものでした。食事は白米と新鮮な野菜のみ。調味料もオリーブオイルに塩と味噌、しょうゆだけ。でもトマトにオリーブオイルや塩をかけただけで、何杯でもご飯を食べられちゃうくらいおいしいんです! 農作業をしたあとの一杯の水も本当においしくて。「自然と共存するって、こういうことなんだ」という思いに浸りました。
その後、就職活動などのことも考え、自然との共存についていろいろと考えましたが、まだ、明確な答えはまだ見つけられていません。ただ、だからこそ、自分だけの農園をもって、身近なところから、自然と人間、自然と社会の接点みたいなものを考えていきたいな、と思っています。どこか距離のある、現代社会と自然がうまくドッキングできたら、私たちはもっと生きやすくなると思うんです。そこをうまくつなげられる考えに至ればいいな、って。そして芸能のお仕事でも、そういうお手伝いができれば一番ハッピーだし、それを私の使命に出来れば、って考えています。
●PROFILE
長沢裕(ながさわ ゆう)
’93・11・23福島県出身。射手座。A型。
「ZIP!」(日本テレビ)のお天気キャスターをはじめ、「趣味の園芸 やさいの時間」(NHK Eテレ)に出演中! オフィシャルブログhttp://ameblo.jp/yu-nagasawa/