僕が見たかった青空の2025年が終わった。2025年12月28日、東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで開催された「BOKUAO青春納め2025」で締めくくった。1年前、’25年の年明けに初の全国ツアーに向けて、メンバーたちは合宿をしていた。ほとんどのメンバーが自分の不甲斐なさに打ちのめされていた。今、ステージで見る彼女たちに、あの合宿の頃の弱々しさは微塵もない。この1年で僕青は驚いてしまうほど大きく成長を遂げている。


よりよいパフォーマンスをするために、とにかく地道にレッスンを重ね、よりよい表現をするために、自分の感情はもちろん、周りの人の感情とも向き合うことを続けてきた。彼女たちが今、まるで絵に描いたような「青春」を過ごせているのは、恐らくマネジメント責任者・田村謙典氏の存在が大きい。田村氏の話を聞いていると、「売れる」ことよりも、人としての「成長」、表現者としての「飛躍」を当たり前のよう望んでいるからだ。「成長」と「飛躍」の先に「成功」があると真っ直ぐに信じているように感じる。
「BOKUAO青春納め2025」の終演後、メンバーの楽屋と接するスタッフの控室で、田村氏に’25年最後のライブを見て感じたこと、そして、’25年が僕青にとってどんな1年になったのかを振り返ってもらった。
——「BOKUAO青春納め2025」が1時間ほど前に終演しました。
田村「どうでした? めっちゃ良かったでしょ?」。


——良かったですねぇ。
田村「今日のライブはベストだったと思う。ベストを更新したんじゃないかな。え、そんなことなかった?」。
——とても良かったです(笑)。
田村「良かったよねぇ。喜怒哀楽、いろんな感情が全部出ていて」。
——そう! 笑いあり、涙ありで。
田村「ね。これが僕青だなと思いました」。
——パフォーマンスでもMCでもいろんな感情が表に出ていましたし、あと、見ていてもう一つ感じことが〝役者が揃ってる〟なって感じたんですよね。
田村「そう思った? 僕ら(マネジメント)はまだ近くで見ているから、そんな感覚はあんまりなくて」。
——揃っていましたよ。例えば、初披露となった八木仁愛さんのソロ曲「This is heaven!」(14曲目)での歌声と表現力、そして彼女の存在感に驚かされましたが、それがいい意味であとに引きずらないほど、続く楽曲でほかのメンバーたちも輝いていて。

15曲目の「カイロに月」ではメインメンバーの工藤唯愛さんが誰にもまして可憐でしたし、安納蒼衣さんや今井優希さんは歌声が伸びやかで魅力的でした。16曲目の「あれはフェアリー」では文句なしにメインメンバーの金澤亜美さんがかわいすぎましたし、17曲目の「反響のティッピングポイント」は各メンバーのソロパートが多くて、メインメンバー・八木さんの唸るような歌い出しもしびれましたが、柳堀花怜さんのがむしゃらな歌声や、吉本此那さんの強く鋭い表情と歌声もとても良かった。18曲目の「君と見た空は」ではメインメンバー・杉浦英恋さんの陰にも陽にも、静にも動にも振れる彼女の才能を思い知りましたし、めちゃくちゃ〝役者が揃っている〟と感じました。お世辞抜きに。

田村「うれしいですね」。
——MCもいろいろメンバーが回せるようになってきているし。
田村「あ、ホント? そんな感覚あります?」。
——あります、あります。お馴染みの須永心海さんに限らず、長谷川稀未さんや西森杏弥さんも回せるようになっているし。
田村「伊藤(ゆず)と工藤(唯愛)がクールポコさんになったコントも良かったでしょ? クールポコさんのネタをやるかと思ったらやらないやつ(笑)」。

——「僕青祭2025」(’25年10月18日 神奈川・KT Zepp Yokohama)に続き、真面目な伊藤さんがコント要員になっています(笑)。
田村「伊藤と面談した時に、伊藤ってお笑いやコントを見るのが好きなんですよ、だからやっぱりコントかもしれないみたいな話になって。クールポコ、やってみるかってことになりました。最高でしょ(笑)」。
——「僕青祭2025」もそうでしたけど、普段は温厚で優しい伊藤さんのキレ芸は面白いですね(笑)。今日のライブの感想として「いろんな感情が全部出ていた」というほかに感じたことはありますか?
田村「あと、今回ライブのタイトル通り、2025年振り返るセトリにしたくて、5枚目、6枚目、7枚目っていう順に’25年にリリースしたシングル収録曲を披露していったんですけど、意外とそれが良かった。衣装はもちろん(楽曲に)全部ハマるし、こんな曲もあったな、この子はこの時にこのポジションだったなって、各々のメンバーの歴史も分かって、ファンの方たちも楽しめたんじゃないかな、って勝手に思っています」。
——’24年の「青春納め」は、そういうセットリストではなかったですよね。
田村「’24年は全曲やったんですよね。全曲やるって、やった身としてマジで思うんですけど、逃げだったかもしれないと今日のライブを見て思いましたね。要は見せ場が何もないから全曲やるっていう。僕の中での感覚はそうで。だから、去年のセトリの組み方は良くなかったなと思います。やっぱりやらない曲もないと面白くないなって思いますし、そもそも全曲やるとなるとクオリティーも下がっちゃうから、ちゃんと絞ってきっちりやっていくほうがいいなと、重要だなと思いました。去年の反省として」。

——今回はタイトル通りの〝年納め〟感が強く出ていたのが、12月28日という時期にもぴったりで良かったですね。各シングルのブロックごとに、その活動期間にあった出来事を表にして、振り返っていくMCも年末っぽくて良かったですし。
田村「そうね。いやー、めちゃくちゃいいライブだったなぁ。あと、どこが良かったですか?」。
——いやー本当に全部良かったですよ。もちろん、まだまだ成長できる部分はあると思いますけど。「反響のティッピングポイント」とかソロパートが多い分、歌声の大きさにメンバーで差がついてしまっているのは気になりますし。でも、未熟さを変に隠さないところも僕青の魅力ですし、成長過程を見守れる楽しさもあるから、それはそれで僕青の良さだと思っています。
田村「そうですね。『〜ティッピングポイント』とか7枚目の楽曲は初披露か数回目だし、表題曲の『あれはフェアリー』でもほかの表題曲とは仕上がりが違うから、そこは仕方ないところなんですけど」。
——田村さんとしては7枚目よりは、5〜6枚目のほうが場数を踏んでいるだけ“出来”はいいなと感じられる?
田村「うん、それはもちろんいいですよね。だって5枚目なんかずっと全国ツアーでやってきた曲なので体に染み付いている。だから、今日のライブを見ていて、全国ツアーをライブハウスでやった意味がすごくあったなと思って。ライブハウスでやっているアーティストって、めっちゃ強いんですよ。僕はバンドが好きなので、バンドのことを念頭に置いて話しているんですけど、ライブハウスでもやるし、めちゃくちゃでかい会場でもやるアーティストってパフォーマンスがめっちゃいいんです」。

——それはなぜでしょうか?
田村「それはだって、目の前のお客さんを喜ばせることができると、でかい会場のお客さんを喜ばせることもできるから。目の前の200人、300人を喜ばせることって結構難しいことなんですよ。顔も全部見えるし。アリーナとかホールだとあんまり見えないじゃないですか。だから、ライブハウスで面と向かって、目の前にいるお客さんを楽しませることってめっちゃ実力がつくんですよ。それができれば、会場が広くなっても同じことをやるだけなので。意外と広い会場でやるほうが経験値になると思われるんですけど、実は小さいライブハウスでやることがちゃんと実力に繋がるので、『SHIBUYA PLEASURE PLEASURE』でやっている雲組単独公演も意味がある。メンバーはね、売れているアーティストしか見てないからかもしれないけれど、アリーナへ行くこととか、ドームへ行くことが正義だと思っているけど、杉浦の好きなUVERworldってドームでもやって、ライブハウスでもやる。それがめっちゃ大事なことだと僕は思っていて。だから、今日のライブは、ライブハウスでやったことがちゃんと生かされていたように僕には見えました」。
——逆に言えば、目の前のお客さんに気持ちが届けられなければ、大きな会場で顔の見えないお客さんにまで気持ちが届けられないぞと。今日のライブのどのあたりで、目の前のお客さんをちゃんと喜ばせることができているなって感じましたか?
田村「やっぱり5〜6枚目、八木や杉浦がメインメンバーを務めている曲はそういうことができているなと思いましたね。でも、特にそう感じたのは(アンコールラストの)『炭酸のせいじゃない』かな。全国ツアーで回ったライブハウスで、毎回違う環境で、ずっと披露していたので、良くなってきたなと思いますね。実は『炭酸』は、今日のライブの最後の曲じゃないんじゃないかっていう意見がメンバーから出ていたんですよ。今まではずっと『好きになりなさい』とか『空色の水しぶき』とかを最後にやって、盛り上がって終わっていたから。でも、僕としては今までとはちょっと違いを出したかったっていうのと、『炭酸』ってすごく僕青の強みだと思っていて。合唱形式でみんなで歌うっていうのが僕青っぽいから」。

——そう感じます。ごまかしようのない自分たちの声だけを使い、1つのメロディーを奏でていく様は、嘘偽りのない自分に向き合い、それを認め合いながらグループをより良くしていこうとしている僕青と重なります。
田村「『炭酸〜』が現時点で一番の武器だと思っているから、最後に持ってきたんですよね。『炭酸』ってメンバーの理想がめっちゃ高いんですよ。全員がうまく歌えないと、ガチっとハマんないんから。誰かが1つミスったら、それにみんながつられていくような楽曲なので」。
——「僕青祭2025」でまさにそういう失敗をしてしまいました(※「僕青祭2025」の詳細についてはこちら)。
田村「そうそうそうそう。それがまさにメンバーのトラウマになっていて。そのトラウマもあってか、メンバーが『最後は盛り上がって終わりたい』ってなったんですよ。杉浦にも言われたし、塩釜(菜那)や柳堀にも言われましたね。ほかのメンバーも同じ意見だったのかどうかは分らないないけど、そういう相談があって、『炭酸』の意図を伝えたんですよね。『僕青っぽいと思うし、’25年の締めにふさわしい曲だと思うから、1回通しリハを見て判断する』って。で、通しを見たら、めっちゃ良かったんですよ(笑)」。

——それでもメンバーは「うーん」ってなっていた?
田村「やっぱり間違えるのが不安なんですよ。だから、レーベルの音の責任者ともメンバーが話して、コーラスを減らすとかいろんな調整をちょっとしたんですよね。で、もう1回歌ってみて、それでも不安なら『好きになりなさい』とテレコにするから、メンバーみんなで話し合ってどうするかを決めてほしいって言ったんです。そしたら、最終的に『やりたいです』ってなったんですよ」。


——「やりたい」となった理由は何だったんでしょうか?
田村「分らない。メンバーにちょっと聞いてほしい(笑)。メンバー会議にあえて入らなかったので。入っちゃうと僕の意見が通っちゃうじゃないですか。だから、メンバーだけで話してもらったんですね。でもたぶん、不安が多少解消されて、こちらの意図も理解してくれたからだと思いまよ。あと、みんなが決断したあとに伝えたんですけど、『ライブって間違えるものだから』って。僕自身が心に残っているライブもそうだけど、歌詞を間違えたり、音程を外してシャウトしたり、そういう予想もつかないことが起きるからこそ、ライブって面白いわけじゃないですか。『ライブって間違えるものだから。むしろ間違える可能性があることをやっていることが素晴らしいんですよ』って言ったら、みんなポカーンとしていましたけど(笑)」。
——そんなことはないのでは(笑)。ちゃんと伝わっていると思いますよ。
田村「もっと、いろんなライブを見に行かせたいなと思いましたね。ライブは間違えるものですよ。間違えないものが見たいんだったら、音源を聴いていれば、編集された映像を見ていれば、それでいいだけの話なので。でも、メンバーは間違えることを怖がっちゃっていたんですよね。だから間違えたっていいじゃんって伝えました。現状だと、やっぱり自信が持てなかったんですよね。実力不足だからじゃなくて、『炭酸』が難しい曲なんですよ。みんなの息がぴったり合わないと、絶対にズレちゃうし、誰かがズレたらつられちゃうから。リハの時、自信なさそうにしていたんですよ。そしたら、さっきも話したけど、レーベルの担当者が少しでも不安がなくなるように調整してくれて」。
(※近くにいた「レーベルの担当者」=大場正幸氏が補足してくれた)
大場「メンバーたちで不安点を話し合ってもらって、(4thシングル『好きすぎてUp and down』収録時の)歌割りを変えたんですよ。合唱バージョンは合唱バージョンで、それぞれが歌いやすいように歌割りを変えてもいいんじゃないって言って。そうすれば、ちょっとは安心して歌えるんじゃないかなと思ったんです」。
田村「メンバーだけで歌割りを変えたのではなくて、大場さんがもちろん整理をして。各メンバーの歌声を理解しているから」。
大場「初めての作業で、メンバーはいい経験になったんじゃないかな」。

——じゃあ、「僕青祭2025」の時とも違う歌割りで、今日の「炭酸」は披露されていたんだ。気付きませんでした……。でも、すごくいい合唱でした。
田村「最高でしたよ、最高だった。全然できんじゃんっていう。『炭酸』を最後の曲にするかしないかで、メンバー会議をしてもらう時に、リーダーの塩釜と副リーダーの柳堀に『多数決で決めるのは絶対ダメ。みんなで話し合って、1コの結論を出しなさい』って伝えたんですよ。そしたら、さっき『分らない』って言っちゃったけど、なんか、青木(宙帆)の一言で、やるってことを決めたらしい。青木がなんて言ったのかは知らないんだけど(笑)」。
大場「『全国ツアーは最後、『炭酸』で締めていたから、今年の集大成として『炭酸』で終わるほうが、ほかの曲で終わるよりもいいんじゃない』みたいなことを言っていましたね」。
田村「ツアー本編ラストは『炭酸』だったらからね」。
大場「それを青木がメンバーの前で言ったら、みんな『そりゃそうだね』ってなって」。
田村「なんで俺の話は聞き入れなかったの! 青木とほぼ同じことをずっと言っていたのに(笑)。いやでも、これが大事。演者がそうやって言うってことが大事なんですよ。俺がいくら上から『これでいいじゃん』ってポーンって言ってもダメで。それじゃあ今日、成功してなかったと思う。青木のおかげですね」。

<後編(近日公開予定)に続く>
撮影=田中健児
取材・文=小畠良一
【BOKUAO青春納め2025 セットリスト】
(Overture)
1. 青空ディスコティック
2. 恋は倍速
3. 臆病なカラス
4. キッシュ・ラブ
5. 青春の旅人よ
(MC)
6. 視線のラブレター
7. 虹を架けよう
8. 偶然ルーレット
9. 残り時間
10. あの頃のトライベッカ
(MC)
11. 暗闇の哲学者
(Dance inter)
12. 誰のことを一番 愛してる?
13. 初めて好きになった人
(MC)
14. This is heaven!
15. カイロに月
16. あれはフェアリー
17. 反響のティッピングポイント
18. 君と見た空は
(MC)
19. 好きになりなさい
<アンコール>
20. あの日 僕たちは泣いていた
21. 青空について考える
(MC)
22. 炭酸のせいじゃない
僕が見たかった青空 information
乃木坂46の“公式ライバル”として誕生。全国オーディションで応募総数3万5678人の中から選ばれた23人で結成され、’23年8月30日に「青空について考える」でメジャーデビューした。7枚目シングル「あれはフェアリー」が現在発売中。3月29日(日)東京・KANDA SQUARE HALLを皮切りに「僕が見たかった青空 全国ツアー2026 春」を開催。
「僕が見たかった青空 全国ツアー2026 春」のチケット購入や詳細はこちらから>>公式HP
僕が見たかった青空公式WEBサイト:https://bokuao.com/
公式X:@BOKUAOofficial
公式Instagram:@bokuao_official
公式YouTube:https://www.youtube.com/@BOKUAO_official