葵うたのweb連載【葵色日記】#72 秋の予感と夏の思いで

ようやく秋到来。
日差しがまだ強い日もあるけれど、すっきりとした風が吹く今日この頃です。

今日は作品でご一緒させて頂いた大先輩と、数人でスナックカラオケ大会があります。
昼からやっているので、夕方頃から少し時間を頂いて。とても楽しみです。

それまでに、模様替えをしようかなと思っています。
先日秋服を数枚調達したので、もう着ないであろう服たちをまとめて、リサイクルに持っていきます。
使えそうなものは糸を解いて巾着袋や雑巾にします。

私の最近はというと、ある作品に入っているのと、自主制作長編映画の準備を進めています。後は、西洋哲学や社会学、東洋思想、文学、サイエンス、エンジニアリングなどを勉強中です。
学生時代、まともに勉強に向き合ってこなかったので、今になって学ぶことが楽しい。
悩みの解決方法の選択肢が増えたりするのかなって、思っています。
知りたいこと、やりたいことが溢れていて、寝不足ですが、充実した日々を過ごしています。
あ、畑も次のシーズンの収穫のために手入れしないと…とほほ。

前回の連載でお話しした山形の上の畑焼について。

テーブルの上に置かれた丸い回転板の上で作っていきます。
ろくろと違って、どんどん粘土が乾いていってしまうから難しい。

土台の上に、下は太く、上に行くにつれて細く棒状に伸ばした粘土を重ねて、立体的にしていきます。

今まで作った器の中で、一番難しかった。
先生はというと、作り方を実践で見せ、私たちが作り出した初めのうちは指南してくださったのですが、「よし。何かあったらベルで呼んでね。楽しんで」と一階へ降りていってしまった。
放任主義、最高。
残された私たち(映画制作チーム3人)は黙々と創作。
学校の図画工作の授業を思い出す。
ここでは時間の流れが本当にゆっくりになる。
非日常だからというのもあると思うけど、東京と田舎の人たちで、流れる時間のスピードは違ったりするのだろうか。

粘土から作る器が完成。
一つの粘土で、五つも作れてしまった。一つはカブの鉢置きにしました。

一つひとつに先生が決まった絵を一つ書いてくれるそうで、
それぞれに桜、トンボ、稲穂を割り当てます。

お次は絵付け。
形ができている器に筆で絵を描いていきます。
私はお猪口にしました。

鉛筆で下書きをして、細い筆で描いていきます。
藍色の濃い色で縁を、薄い色で塗っていきます。

焼く前の乾燥した器はとても脆いので、優しく、慎重に…。

内側に彼岸花、外側に藤の花を描きました。

全ての作業が終わった後、先生が「お腹空いたでしょう」と
お抹茶とお菓子をくれました。
優しい。
その瞬間お腹がぐうっと。
気づけば4時間経っていました。

こんなにのんびりとさせてくれるなんて。

先生は、この上の畑焼に触れてもらおうと、学校の授業にも参加しているらしい。
一度は途絶えたものを、こうして繋いでいく人がいる。

ここでしかできない体験と出会い。穏やかな時間を過ごしました。
旅の醍醐味ですね。

あれからもう一ヶ月が経ちます。
また家に器が届いた時、この時のことを思い出すのだろうと思います。

【今週の一冊】

「ブラックジャック」箸/手塚治虫

葵うたの aoi utano
’99・7・4埼玉県出身。蟹座。B型。俳優・タレント。ドラマ「ガールガンレディ」、「パリピ孔明」、「三人夫婦」、「さっちゃん、僕は。」などの出演経験があり、アニメ「Artiswitch」では主人公の声優を担当。公開中の映画「僕の中に咲く花火」で水石朱里役で出演。また、主演の星野可子役を演じた長編映画「タイムマシンガール」が全国各地で順次公開中。

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