日系2二世で、日本語新聞社「加州新報」での賢治(小栗)の同僚であり、懸命にその人生を生きたヒロイン・井本梛子役を演じる多部は「私の演じる梛子は極めて純粋な役柄で、梛子は日本寄りの考え方をしているので、日本人のような気持ちでいるのは確かなのだけれど、(日本とアメリカ)どちらのことも否定していないですし、でもすごく肯定しているわけでもない。きちんとみんなの気持ちをくんでいるような気がします」と役どころを説明。
そして、初共演となる小栗について「とてもフラットな方だと思います。さきほどの撮影も、テントの中でも外でもずっとあまり変わらないテンションでした。本番前に全然違うことを話したりしますし、シリアスな厳しいシーンもたくさん撮ってこられているのだろうけど、そんなことを感じさせないくらい、いつも通り(笑)」と笑顔でコメントし、「監督は『これは青春の物語だ』ということをよくおっしゃっています。正直、悲しい物語だと思う部分もありましたが、その中でそれぞれの人生を生きる主人公たちの『若者の青春』の部分を大事に見てほしいです」と語った。
同じく日系2世で、賢治の妻であり梛子(多部)の学生時代からの友人・天羽エミー役を演じる仲は「やはり大作ということで、お話をもらった時、最初に『そう簡単に挑めないな。私、大丈夫かな? できるかな?』と感じました。難しいシビアなお話だし、ちょっと私にはまだ早いんじゃないかなと。まだ役者としての実績をそこまで積んでいないのに、そんなに簡単に出演していい作品なのかなと思いました。しかも、そうそうたるメンバーの中で、ストーリーの中で目立つ役なので、緊張とプレッシャーがありました」と心境を明かした。
小栗との共演について「まさか夫婦を演じるなんて思っていなかったです。(小栗さん演じる)賢治のたまに出てくるエミーへの優しさに救われて…だからエミーはしつこく諦めずしがみついているんだと思います。だって普通エミーみたいな子はほかで遊んでしまう気がするんです。それだけ賢治にすごく魅力があるんだろうなと思いました」とキャラクター性を分析。
最後に「とても有名な大作で、若い子には『難しいのかな』と思われてしまうかもしれませんが、平成も終わりますし、日本の歴史でこういうことがあったということを、このドラマを通して若い人たちにも知っていただきたいです。日系2世のことは教科書にはあまり載っていないことなので、そういうことを知るきっかけになればいいなと感じています」とメッセージを送った。
そして、梛子の妹で、姉と共に「マンザナール収容所」へと送られる井本広子役を演じる池田は「当時のことを学ぶのはもちろんですが、多部未華子さんが演じる姉をよく観察して、日系2世の次女から見える世界や妹として姉に抱く感情を大切にしたいと思いました」と役づくりについて明かし、多部について「現場の空気を作ってくださる凛とした方です。本当の妹のように甘えてしまいました。たまに見せてくださる柔らかさに心を射抜かれていました」と絶賛した。
チャーリー田宮の妹・小田万里子役を演じる橋本は「戦争というものがどれほど人々を傷つけ、どんな思いをしたか、この台本を読んだだけでも伝わってきて、皆さんにもその時代に生きた人々の生きざまを忘れてはいけない、伝えていかなきゃいけないものと思い臨みました。日系アメリカ人2世なのに、アメリカが落とす原爆の被害者になります。帰ってきたチャーリーにも複雑な思いがあったり、自分の人生でも婚約破棄など失ったものはたくさんあったけど、絶望だけではなく生き残った方には未来、希望なども含まれていると思い、さまざまな感情を巡らせながら演じれたらと思いました」と出演の意義と決意の気持ちを明かした。
3/23・24(土・日)放送
開局55周年特別企画ドラマスペシャル「二つの祖国」
後9・00~11・24 テレビ東京系
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