NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で、信濃からやってきた謎の少女・高瀬を演じている高橋ひかるちゃん。’14年に「第14回全日本国民的美少女コンテスト」で8万1031人の応募者の中からグランプリに選ばれ、’16年に映画「人生の約束」で映画デビュー。本誌B.L.T.、blt graph.やCM出演など、多方面に活躍中のひかるちゃんに役や女優業への思いを語ってもらった。
「おんな城主 直虎」は56作目の大河ドラマ。井伊直虎(柴咲コウ)は井伊家当主・直盛(杉本哲太)の一人娘として生まれるが、幼くして許婚(いいなずけ)と生き別れ、その後、出家。やがて男の名で家督を継ぎ、今川、武田、徳川が領地を狙う中、知恵と勇気を頼りに、仲間と力を合わせて国を治め、幼い世継ぎの命を守りながら、生き延びていく物語。
――まずは大河ドラマに出演されることについては、率直にどう感じていますか?
「私が小さなころから家族で大河ドラマを見てきましたし、特に戦国時代が好きなので、お話をいただいたときはすごくうれしかったです。好きな武将はたくさんいるのですが、井伊直虎のことは知らなくて、台本を読んだり、作品を観たりしながら、直虎という女性のことを知ったんですけど、知らなかったことが悔しいと思うくらい素敵でかっこいい女性だなと思いました。井伊家は滋賀県(彦根藩)とゆかりがあるのに、滋賀県出身の私が直虎さんのことを知らなかったことが本当に悔しかったんです。なので、このドラマを通じてもっともっと知りたいと思います」。
――これまでのオンエアは、どのような気持ちで見ていましたか?
「クランクインが楽しみでありながら、ちょっと不安な気持ちもありました。初めてのドラマ出演でもあり、さらに時代劇でもあったので……。でも、自分なりに目標をしっかりつくって挑もうと思って見ていました」。
――どのような目標を立てられていたんですか?
「初めて出演させていただいた映画『人生の約束』では、とても緊張してしまって、自分のことに精一杯で、周りに大御所の役者さんがたくさんいらっしゃった現場だったのに、みなさんから学ばせていただくことができなくて、すごく悔しい思いをしたので、今回は、周りの方々のお芝居をしっかり見て勉強することはもちろん、共演する方がどういうお芝居をなさるんだろうと、事前に想像を膨らませながら現場に入ったりするようにしています。撮影が終わったときに、自分が少しでも成長できたと思えるようにしたいです」。
――実際の撮影現場はいかがでしたか?
「本当に毎日がお芝居の勉強で、すごく充実している撮影期間だなと感じています。最初は緊張していたんですが、実際のところは、すごく勉強にもなるし、、楽しいと感じる現場でもあります」。
――主演の柴咲コウさんの印象はいかがでしたか?
「オーラがあってとてもカッコいいなというのが、最初にお会いした時に感じたことです。自分から話しかけることは全然できないんですけど、自分がお百姓さんの役でうまく撮影ができなくて悩んでいたとき、直虎さんや祐椿尼(財前直見)さんと一緒のシーンだったので、そのときにいただいたアドバイスがすごく助けになって、本当にありがたいなと思っています」。
――どのようなアドバイスだったか具体的に教えていただけますか?
「“目線”ひとつで身分の差が表現できるということを教えていただいて。高瀬はまだそのときに井伊の屋敷に来たばかりで、部屋に通されて、直虎さんや祐椿尼さんと目を合わせていたんですけど、そういうときは、目を合わせるのではなく、胸元を見たりしてたほうがいい、そのほうがより身分の差がはっきり表現できるということを教えていただきました」。
ーー今回演じている高瀬という女性は、どのような人物だととらえていますか?
「私が想像する高瀬のイメージは、両親がいなかったり、つらい過去がある中で、それを感じさせないくらい屈託のない明るさを持った女の子だと思っています。直虎さんの幼少期のおとわにもどこか似ているようなところもあって、考えたことをすぐに行動に移してしまう少年っぽさがある女性だなと思っています」。
ーー高瀬という女性に対して共感するとこはありますか?
「思ったことをすぐ行動に移したりする少年っぽいところは、私も考えずに先に行動に出ちゃうタイプなので、そこがすごく似ているなと感じました。一方で、つらい過去があるのにもかかわらず、素直で明るく笑顔でいられるのは、どうしてなんだろうって、すごく不思議に感じてもいます。私だったらこんなに明るく振る舞えないなって。そういうところに高瀬の人間としての芯の強さを感じたりもしています」。
――髙橋さんもすぐに行動に移すタイプということですが、小さいころはどんなお子さんだったんですか?
「小さなころは、通信簿に先生から『天真爛漫な子』と書かれていたりしたんですけど、自分でも思い当たる節がありました(笑)。たとえば、小学校のときに透明のドアがあって、それがすごくきれいに掃除されていて、自分はドアじゃないと思って走って出ようと思ったら、その透明なドアに衝突してしまったことがありました(笑)。すごく恥ずかしかったですね。そういうところは今でも気をつけています(笑)。ちゃんとドアノブがあるかなぁとか、確認するようになりました」。
――今回は、セリフに“訛り”がありますけど、その点はいかがでしたか?
「細かいイントネーションがすごく難しくて、関西出身なので、関西弁がちょっと混ざってしまい、少し不思議な言葉になってしまったりして(笑)。『ありがとう』という一言でもイントネーションが違ったりするので、方言指導の先生に教えていただきながら、なんとか自分のものにすることができました」。
――戦国時代好きということですが、好きな武将は誰ですか?
「織田信長さんと伊達政宗さんだったんですけど、今はやっぱり井伊直虎さんです! 女性として生きていたら全然違った人生もあったと思うんです。でも、自分で決心をして城主として困難な道で生きることを選ばれた。そういう大きな決断ができるのは、同じ女性としてすごくかっこいいなと思います」。
――大河ドラマに出演したことで、何か生活面で変化はありましたか?
「ロングスカートで座るときも着物での座り方を意識してしまったり、お百姓さんの役のときの名残で、お母さんに『へい!』って返事をしてしまったりしました(笑)。でも、それくらい自分の中に役が馴染んでいたんだなって思うと、うれしくも感じました。お母さんには『なんで、へい!って言っているの?』ってツッコまれました(笑)」。
――髙橋さんが女優さんとして心がけていることはありますか?
「このお仕事をするにあたって、お母さんに『どんな仕事でも気を抜かないようにやりなさい』と言われたんです。その言葉を忘れずに、どんなときも真剣に、努力を怠らず、でも、肩に力を入れすぎず、リラックスをしてお仕事に臨みたいと思っています」。
――こういう女優さんになりたい、という目標や憧れている方はいらっしゃいますか?
「人の感情を動かすことのできる女優さん、人を笑顔にできる女優さんになりたいと思っています。憧れの女優さんはたくさんいるんですけど、『この人のようになりたい』という目標は持たないようにしています。高い目標を持つのではなく、まず自分自身に勝つことが大事だと思っているので、今の自分をさらに超えるように努力をしたいと思っています」。
――最後に、高瀬のこんなところを観てほしいというポイントを教えてください。
「高瀬は明るさや笑顔が魅力的だと思うんですけど、観ていて『ん?』と疑問に感じる行動や仕草があるかもしれません。そこは……これから高瀬がどうなっていくのか、どういう女性なのかという部分も少しずつ明らかになっていくと思うので、そういった部分にも注目していただきたいです!」。
⚫︎PROFILE
髙橋ひかるHikaru Takahashi
’01・9・22滋賀県出身。乙女座。O型。
髙橋ひかるちゃんが掲載されているblt graph.vol.18はこちら!
提供=NHK