PRIDE 〜In The Name of KEYAKIZAKA〜 欅坂の名のもとに

デビュー2周年を目前にしての
考察、あるいはエール

 

「4月6日」──欅坂46のデビュー記念日が迫った。

いろいろな思いがよぎるけれども、ここで、いま一度思い出しておきたい。
彼女たちがグループとして活動を始めたその日から、予期せぬ出来事に次々と向き合いつつ、苦悶しながらも七転び八起きで坂を登り続けてきたことを(※弊コラムを参照)。

そうなのだ、〝一体感をもって楽曲の世界観となす〟パフォーマンスのスタイルが確立されてから、洗練されたイメージが先行しがちな彼女たちだが、その歩みは実のところ泥臭かったりもする。

実際、キャプテンの菅井友香とダンスリーダーの1人である鈴本美愉が、B.L.T.の取材に対して次のようなコメントを残している。

鈴本「2017年は……素直に『いい年だったな』と言える1年ではなかったですけど、私たちにとっては必要だったし、プラスになった年だと思っています。状況的に難しいなと感じた時、メンバーみんなで向き合って乗り越えたという経験が、これから大きな意味を持つんじゃないかなって」。(B.L.T. 2018年1月号より)

菅井「(2017年を振り返って)いま一度グループの原点に立ち返って、〝謙虚、優しさ、絆〟の3つを大切に、メンバー同士がフォローし合える関係を強めていきたいと思います。そのうえで、どんなことにも挑戦していって、みなさんに『応援していてよかった』と思っていただけるように成長していきますので、見守っていただけますとうれしいです。’18年は、どのメンバーを見ても『すごい』と思っていただけるような、いろいろな意味で強くなった欅坂46をお見せしていきたいですね」。(B.L.T. 2018年2月号より)

見えていることだけが真実ではないし、知っていることだけが事実でもない。
ただ、僕や君の前には一つの現実があるだけだ。
欅坂46というグループが新たな局面を迎えつつある、という。
そして、彼女たちは外野が想像しているよりもずっと強い気持ちと確固たる覚悟を持って、来たるべき〝記念日〟に向かって歩んでいる──ような気がしてならないのだ。

1月末に予定されていた2日間の日本武道館公演が、当初は1日のみの公演が割り当てられていたけやき坂46(ひらがなけやき)の3Daysワンマンに振り替えられたこと、突然すぎる〝代役にして大役〟を、ひらがなけやきの面々が見事に務めあげたことは、あらためて説明するまでもないだろう。筆者も武道館でのひらがなのパフォーマンスを目にしたが、昨年の全国Zeppツアーで培ってきた力を遺憾なく発揮し、多幸感あふれる空気で会場を満たしてオーディエンスを魅了する姿に逐一、胸と目頭を熱くさせられた。そのステージが琴線に触れたのは、’16年5月の結成以来、「自分たちはいったい何者なんだろう?」とアイデンティティを模索してきたひらがなけやきが、一本の欅から派生した〝次なる可能性〟としての存在証明を果たしたことが何よりも大きい。

しかし、ひらがなとの切磋琢磨がお互いにとって成果をもたらしている、と菅井は昨年末の時点ですでに証言している。おとなしそうに見えて負けず嫌いの多い漢字欅のメンバーたちは、「次は自分たちが爪跡を残してやる!」と、静かに闘志を燃やしているはずだ。

菅井「(’18年の目標として)まずは、’17年の自分たちを超えることが挙げられます。4月にはデビューして3年目になりますし、常に『このままではいけないな』という焦りもあるんですけど、若くて元気な新メンバー(2期生)が入ってきた〝ひらがなけやき〟からも刺激をもらうことで、グループ内でお互いに成長できる体制ができあがりつつあるのかな、と感じてもいて。漢字欅がさまざまな歌番組やイベントに出させていただくのは、ひらがなけやきがグループの水準を高めてくれた部分も間違いなくあるので、’18年は漢字とひらがな、どこを見ても楽しくて魅力的なグループをめざしてがんばります」。(B.L.T.2018年2月号より)

「4月6日」が刻々と迫っている。

純然たる漢字欅のみのワンマンライブは、デビュー直前の’16年3月に東京国際フォーラムで行われた「デビューカウントダウンライブ」以来となる。久しぶりの単独公演であるのもさることながら、4月6日からの3Daysアニバーサリーライブは、単なる〝記念碑〟的な公演にとどまらず、さらなる成長を証明する場にもなるはずだ。その期待を抱かせる要素の一つに、鈴本美愉という秀でたパフォーマーの存在が挙げられる。

かつて、鈴本は欅坂46に対して、こんな思いを吐露したことがあった。
鈴本「私、本当に欅坂46を極限まで続けたいっていうか、メンバーのみんなとずっと一緒にいたいんですよ。欅は、それぞれが誰かにとっての支えになっていて、誰かが必ず誰かを必要としているグループなんです。なので、もし1人でもいなくなってしまったら、その子に支えられていたメンバーの心も折れて、連鎖していってしまうような気がしていて。1人でそのことを考えたことがあるんですけど、誰がいなくなっても続けられなくなるという結論が自分の中で出て、泣きそうになりました。だから、本当、みんなのことが大切だし──愛しいんです」。(B.L.T.2018年1月号より)

それほどに繊細なハートを持つ彼女が、3月24日に放送された「欅坂46SHOW」(NHK-BSプレミアムで)で見せた6thシングル「ガラスを割れ!」と「もう森へ帰ろうか?」のパフォーマンスに、ある種の決意表明を感じとった人も多かったのではないだろうか。グループをけん引するかのごとく、ダイナミックかつアグレッシブでマッシヴなダンス。持てるポテンシャルのすべてを発揮して一心不乱に踊る姿は、まさに〝目の前のガラスを割る〟ような気概に満ちていた。

鈴本だけではない。グループがどんな壁に直面しようとも、持てる力を合わせてがむしゃらに取り組み壁を乗り越えてみせると、早い段階からメンバーそれぞれに考えていた。その一例として、長濱ねるの情熱的な言葉をいま一度、引用しよう。

長濱「私は2018年にすごく懸けているんです。とても大事な年だなって。仕事やグループのことが一つひとつ繋がってくるから、気合いが入っているんですよ。仕事をするのは人間同士なので、どうせなら気持ちよく仕事をしたいですし、また欅と仕事がしたいなと思ってもらいたい。そして、ファンの方には『また欅のライブに行きたいな』と思ってもらえるようなグループでありたいんです。この前、NMB48さんのライブに行ったんですけど、メンバーの方々が笑顔でステージ上にいるだけで、観ている側としてはうれしいんですよね。そのとき、たくさんの方と目を合わせることが本当に大事だなって思いました。一瞬のことが一生の思い出になりうることを……忘れてはいないつもりですけど、どこか疎かにしていたかもしれないと気づかされたんです。で、(渡邉)理佐とも話したんですけど、理佐もめちゃめちゃ気合いが入っていて! 『’18年は欅の活動をめちゃくちゃがんばろうね、ライブもね』って。もちろん、大人数のグループだから大変なことはたくさんありますし、一筋縄じゃないんですけど……」。(B.L.T.2018年3月号より抜粋)

確かに大人数のグループで完全に意思の疎通をはかるのは、たやすいことじゃない。一人ひとりが異なる個性を持っているのだから、なおのことだ。しかし、それゆえに気持ちを一つに通い合わせて、そのエナジーをパフォーマンスに注いだときの爆発力は、すさまじい。現に、これまで欅坂46が大事な場面やここ一番で想像以上のチームワークを発揮して逆境をはね返してきたのを、彼女たちと並走する中で何度も目撃してきた。

まだ知名度が低く、何者かもわからない状態でオープニングアクト(2016年1月末)を務めた「ニッポン放送 LIVE EXPO TOKYO 2016 ALL LIVE NIPPON VOL.4」で、臆することなく「制服のマネキン」を披露した時、しかり。
ドラマ「徳山大事次郎を誰が殺したか?」の撮影と並行して行われ、心身ともにギリギリの状態で臨んだ2ndシングルc/w曲「語るなら未来を…」のMV撮影で、難度の高い振付をマスターし、気迫のこもったパフォーマンスを見せた時、しかり。
結束力が生み出したエモーショナルなエピソードを数多く持つグループだからこそ、僕たちは欅坂46に惹かれたのではなかったか?

だから──と結論づけるのは暴論かもしれない。
だけど、信じずにはいられない。
欅坂/けやき坂の名のもとに、見えざる手に引き寄せられるように集った彼女たちだからこそ、どんな宿命をも乗り越えるであろうことを。
何より、〝欅/けやきのプライド〟は僕や君が思っているよりもっとずっとしなやかだし、はるかに強じんなのだから。

いみじくも、渡辺梨加が欅坂46というグループの底力について、こう評している。
渡辺「大事な時に空気が変わるところ。歌番組の本番前とかライブの前とか、大事な時に空気が変わる瞬間があって。真剣で、本気で……そこがすごいなって思います」。(blt graph.Vol.29より)

3度目の「4月6日」がやってきた。
想像をはるかに超える爆発力を秘めた連帯と集中の結晶を、きっと欅坂46は大一番にぶつけてくれるはずだ。この瞬間の彼女たちにしか出せない──いや、彼女たちだからこそ出せるパワー、エナジー、エモーションを、ともに感じとろうじゃないか。

 

text=平田真人