ドラマ撮影の現場であらためて感じた、欅坂46のバイタリティー

ブレークスルー=目の前の障壁に価値を見いだし、試練を突破することで成長していこうとする考え方。知ってか知らずか、欅坂46はそのメソッドを実践することで日々前進し、成長線を描いているように見える。

そもそも、彼女たちは否応なしに〝アウェイ街道〟を歩んできた。アイドルの大先輩たちに囲まれての初パフォーマンス(「FNS歌謡祭2015」)が象徴するように、その目の前に広がる坂道はけっして緩やかではなく、むしろ上るにつれ、勾配(こうばい)がキツくなっていく感じさえあった。そこへ来て、デビュー曲「サイレントマジョリティー」の記録的大ヒット。思いがけず自らハードルを上げた欅坂46は、さらに〝超えるべき壁〟と向き合うことになる。

そう、現在放送中の土曜ドラマ24「徳山大五郎を誰が殺したか?」(テレビ東京系)の撮影だ。メンバー21人全員に役が割り当てられた本作は、一見アイドルドラマの体をとりながら、コアなドラマフリークや映画マニアの興味をそそるようなシナリオが紡がれ、かつ映像化がなされている。結集したスタッフの顔ぶれからして、デビューからわずか3カ月の新人グループが萎縮してもおかしくない豪華布陣。つまり、単なるアイドルドラマでは終わらせず、何か爪痕を残す──あわよくば閉塞したテレビ界に風穴を開けるくらいの気概を持って取り組むべき作品であることを示唆していた。だが、当然のことながら彼女たちに演技の経験はない。それゆえ、芝居の何たるかを体得するためにワークショップが催された。これが想像以上に過酷で、だからこそグループで共有すべき意識をまとめあげ、結束力を高めることに繋がっていく。

B.L.T.8月号の巻頭特集記事内でメンバーそれぞれが語っているように、閉鎖された空間で大勢の大人たちに囲まれ、常にメーキング用のカメラがまわっているという特殊な状況下でレッスンは行われた。短時間で彼女たちにできるだけの多くの経験を積ませるという制作側の意図があったにせよ、急速に重い負荷を掛けられることに、中には戸惑いを隠せないメンバーがいたのも確かだ。しかし、平手友梨奈をして「ワークショップのある日は気が重かった」と言わしめた修練の日々は、人前で演じることに恥じらいとためらいを感じていた彼女たちの心を覆っていた殻に、やがて楔(くさび)を打ち込んでいく。かくして大人たちの本気を感じとった21人は、いつしか自分たちも真摯かつ全力で取り組むことによって応えようと、気持ちを一つにする。ほどなく迎えたクランクインの日、セットの中には明らかに今までとは顔つきの違う欅坂46のメンバーたちがいた。

ワークショップの時点から彼女たちを甘やかすことなく、かつ愛情を注いで接してきた豊島圭介監督は、「新人」や「アイドル」といったフィルターをかけることなく、彼女たちによりクオリティーの高い芝居を要求していった。慣れないドラマの現場の雰囲気に緊張しつつも、少なからずワークショップで培ってきた経験と持ち前のバイタリティーで、求められた以上の表現を返していこうと尽力するメンバーたち。その様子を、別室のディレクターズブースに置かれたモニターを通じて、長濱ねるが見つめていた。撮影初日に彼女の出番はなかったが、盟友たちが新しい一歩を踏み出す瞬間をともにしたいと、20人と一緒に現場入りしていたのだった。カメラテストの段階で、演技プランをふくらませていくメンバーたちの頼もしき姿に、長濱は真剣な眼差しを真っ直ぐに向けている。ファーストカットを撮り終えてすぐ、「ねる~」と駆け寄ってきた平手を笑顔で迎え入れるさまに一瞬ほっこりとさせられるが、ドラマの撮影現場独特のピリッとした空気と収録スケジュールのせめぎ合いに、間もなく彼女たちの表情が引き締まっていった。

そんな1分1秒も惜しまれるスケジュールの中で、B.L.T.8月号の撮影と取材を敢行したわけで……撮影クルーのみなさんはもちろん、メンバーたちに貴重な時間を取材に割いてもらったことに対しては感謝しかない。撮影が進むにつれ、さすがに彼女たちに疲労の色が見えてきたりもしたが、それでもオフショットのレンズを向けると笑顔でピースをくれたり、近くにいるメンバーを誘ってペアを組んでくれるなど、有り余る対応を見せてくれた優しさに、あらためて恩義を示す次第である。むろん、7月23日(土)に発売されたB.L.T.9月増刊欅坂46版の21人全員が登場する浴衣グラビアについても同様だ。収録の合間(隙間、と言った方がいいかもしれない)を縫っての撮影と取材にも快く応じてくれた心意気に、重ね重ね感謝する。

自分たちのことを棚に上げて言うのも何だが、ドラマの撮影に集中できるのであれば、もっと体力的に楽だろうと思う。しかし、新曲「世界には愛しかない」と各カップリング曲のレコーディング及びMVと個人PVの撮影をこなし、2つの冠番組の収録を行い、音楽番組にも出演し、それらをクリアする一歩手前にまで、彼女たちは到達した。実際、会うごとにグループ全体がたくましくなっていると感じずにはいられない。

厳しい環境に身を置き、適応していくタフな生命体のごとく。ドラマがクランクアップを迎えたころ、欅坂46はさらに進化=深化しているはずだ。

そんな一節を、僭越ながらエールとしておくりたい。

text=平田真人

 

 

B.L.T.9月号欅坂46版は全メンバー浴衣で登場!
http://zasshi.tv/products/detail/HBBLT160723_001-00-00-00-00-00